ゆたり倶楽部

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◎スイーツ

御菓子屋コナトタワムレル
[栃木県宇都宮市]

「今日も粉と戯れています」
おとぎ話にでてきそうな、あたたかさにみちた御菓子屋さん

　宇都宮市の高台にある閑静な住宅街。立ち並ぶ家々にそっと溶けこむような、可愛らしい一軒のお店を見つけました。小さな平屋を改装して7月にオープンしたばかりのお菓子職人・亀田さんのお店「御菓子屋　コナトタワムレル」。扉を開けると、三角巾とエプロン姿の亀田さんがにこやかにお出迎えしてくれました。

　「あんまり洗練されてないところがいいのかも」と微笑んだ亀田さん。淡くやさしいトーンで彩られた店内には、絵本や雑貨、使い込まれた調理器具などもディスプレイされて「スイーツショップ」というより「おやつ屋さん」といったような、どこか懐かしくあたたかな雰囲気につつまれています。そして、ショーケースにはスコーンやクッキーなどの焼き菓子をはじめ、季節に合わせたケーキやデザートが。安心して食べられるシンプルなお菓子をコンセプトに、亀田さんは営業中もただひたすら粉をこね、生地を焼き上げていきます。「日持ちはしないものばかりだけど、その分こまめに作って、ご近所の方やお子さんが毎日気軽におやつを買いに来てくれる…そんなお店にしたかったんです」

　数年前に世界を旅した亀田さんは、各国の飲食店で活躍する日本人の姿をみて「美味しいものをつくる腕さえあれば、世界中どこででも暮らしていける」と、帰国後、戸惑いもためらいもないまま有名飲食店の扉をたたいたそうです。「今思うと、ずいぶん恐ろしいことをしました(笑)」パティシエとして奮闘する日々のなか、粉にふれていると心安らいだという亀田さん。そんな時にオーナーさんとの会話のなかで生まれたのが「コナトタワムレル」というこの素敵な店名でした。
　ただ甘いだけでなく、粉という素材の自然な美味しさを教えてくれる亀田さんの手作りお菓子。「私、お菓子屋だけでは終わらないと思います。思いきりと放浪癖がありますからね」どうやら、亀田さんの自由気ままな旅はまだまだ続いていく様子です。粉と戯れながら、心ゆくままに―。（m.m.）