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◎和食

鹿火屋(かびや)
[群馬県北群馬郡]

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懐かしい味が郷愁を誘う
山村にある茅葺農家のお休み処

 伊香保温泉にほど近い水沢街道。この街道を少し登った場所に『鹿火屋』はあります。大きな茅葺屋根にゆっくりとまわる苔むした水車、なんとも風情のある佇まい。鹿火屋とは、万葉集にも読まれている農家の知恵で、田畑を荒らす猪や鹿を防ぐため焚き火をたいて臭いものをくべる小屋のこと。当初は山の畑にポツンと一軒の店、という景観だったため屋号にしました。のれんをくぐり店の中に入れば、でこぼことした土間と囲炉裏。パチパチと火が弾ける音が、なんだか嬉しい。昼間でも暗い店内にうっすらとかかる煙、まるでタイムスリップしたかのような懐かしい空間が広がっていました。

 鹿火屋の名物といえばふかした里芋に“あまじょっぱい”味噌を塗し、炭火で炙った「いも串」。使っている里芋は地元のもの、秋に収穫できたものを泥つきのまま保存して使っているので、10月中旬から6月上旬くらいまでの販売です。もう一つの名物、焼きとうもろこしは夏場のみ。毎朝作るくず餅は自家製の黒蜜がたっぷりかけられ、ぷるぷるとした食感。旬のものを美味しいうちに食べるところも、昔ながらです。休日になると、水車小屋の脇にある竹馬や竹ぽっくりの周りに、子どもやおじいちゃん、お父さんたちも集まって、親子2代、3代でワイワイと遊ぶ姿も。なかなか見かけなくなった本物の竹を使った竹馬に乗りたくて「しばらく特訓して」から帰る家族もいるそう。そして、レトロな封が愛らしい瓶ラムネを飲みながら、山の緑を見れば不思議と時間を忘れます。

 いつまでも変わらずお店を続けたい-、そんな思いが詰まった鹿火屋。旅をきっかけに偶然知ったこのお店を懐かしんで、遠方から来店するお客さん。小さなわが子と店先の鯉を眺める家族。楽しみ方はそれぞれ自由です。(e.suwa)

住所/群馬県北群馬郡吉岡町上野田1329-127
TEL/0279-54-3920
営業時間/9:30〜17:00(日祭日は17:30まで)
定休日/不定休

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