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[たびのま] 記事数:4

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Vol.3 昭和レトロ 向島の商店街を歩いてみる

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東京都墨田区向島。

スカイツリーから徒歩 15 分ほどのこの界隈には、

下町情緒あふれる町並みが残っている。

曳舟駅と隅田川のちょうど真ん中ぐらいにある、鳩の町商店街。

ここは80年以上の歴史をもつ商店街。

東京大空襲もまぬがれたため、

道幅なども昭和初期当時の面影が残っている。

永井荷風や吉行淳之介の小説の舞台にもなっているらしい。

スカイツリー観光のあとは、すこし足を伸ばして

昭和レトロを感じに散策に出かけてみよう。





[photo no.1]





東武スカイツリー線 曳舟駅から歩いて5分。

旧水戸街道沿いの鳩の町商店街のアーケードを抜けると、

そこには思わずシャッターをきりたくなる懐かしの風景が。

狭い路地には人や自転車が行き来する。


歩いていて驚いた。

たまたまなのかもしれないが、鼻歌をうたいながら行く人が多いのだ。

それはまるで昭和初期を描いた映画のようなのどかな光景。

口ずさみながら自転車をゆっくりこぐおじいさん。

魚を並べながら口ずさむ魚屋さん。

つい振り返って見てしまうが、すれ違う人から愉しげに聴こえてくるそれは

ごく自然に商店街の風景に溶け込んでいて、違和感はない。



[photo no.2]


古民家カフェこぐまに入ってみる。

昭和2年の木造家屋を改築した外観は、古い木の風合いがお洒落。

中に入ると笑顔の素敵 なご主人が迎えてくれる。

店内の机と椅子は小中学校の教室で使っていたものらしく、

名前を彫った跡なんかもそのまま残っている。

座るとつい姿勢をのばしてしまう。

木の机と椅子の感覚が、小学校時代 にタイムスリップしたみたい。

名物の焼きオムライスをいただき、美味しいひとときをゆっくり味わう。

棚には古本が沢山並んでいて、

食事のあとにお茶をしながら読書時間を過ごすこともできる。



[photo no.3]


お店の前に、珍しい路地琴を発見。

ひしゃくで石の上に水をかけると、

壷の中で音が反響してぴちゃ、コンコン、と音色を楽 しめる。

子供にかえったような遊び心で、耳を近づけて澄ましてみる。

水の音と通りの声が混ざり合い、儚い音色が竹の中から聴こえてくる。



[photo no.4]


こんなおでん屋さんを見つけたら、買わずにはいられない。

おいしそうな出汁のにおいがたちこめて、湯気が通りを歩く人を誘っている。

お店のおかあさんに皿に入れてもらい、

お店の前のベンチに座って寒い中はふはふと食べるのがいい。

家で食べるおでんも好きだが、それよりも何十倍もおいしい。



[photo no.5]


商店街を歩いていて気になるスポットが。

鈴木荘は、もともと空きアパートだったところを商店街で買い取り、

各部屋をチャレンジショップとして色んなオーナーさんに貸し出しているとのこと。

紙を使ったユニークな雑貨を提案している紙工房など色々なお店が入っていて、

アートを感じられるスポットにもなっている。

どこか文化的な香りのする、新感覚の空間。



[photo no.6]


鈴木荘5号室に入っている甘夏書店さんにおじゃまする。

本と雑貨を扱ったこのお店は、

毎月15日から28日の2週間という期間限定でお店をやってらっしゃるとのこと。

この日はたまたま出会うことができた。

店内スペースには、作家手作りの紙雑貨やリトルプレスなどが並んでいる。

定期的にワークショップもやっているらしく、

オーナーのわくわくした好奇心が伝わる。

ふらりと入った店内で、

お店の方との楽しいおしゃべりにどんどん興味がひきこまれていく。

途中、手作りのZineを納品にきた作家さんと出会い、情報交換の場となる。

この場所から歩いて20分ほどのところにある

カフェギャラリーをおすすめしていただいて、

ついつい長居したお店をあとにする。



[photo no.7]


一歩横道にそれると、東京下町ならではの路地裏。

つい気になって見てしまう。

生活のにおいがするのがいい。

猫が隠れていたりするのもいい。

どこか迷路のようで、どきどきするのかもしれない。

子供の頃はこんな狭い空間が絶好の遊び場だった気がするが、

大人になった今でも、

なんだか面白い遊びを思いついてしまいそうな予感がする。

どんな冒険でもできそうな気がする。



[photo no.8]


さっき甘夏書店さんにおすすめしてもらった、玉ノ井カフェへ足をのばしてみる。

鳩の町商店街を出て、徒歩20分ほどのところにあるカフェギャラリー。

ここは元々洋品店だったのを皆が集えるカフェにしたとのこと。

若者が一人で読書してい たり、

ご近所と思われるおじいさんがゆっくり珈琲をのんでいたり。

ちょうどここでも古本市をやっていて、沢山の本が箱に入って並んでいた。

丁寧に豆から挽いた珈琲が、歩き疲れた体を温めてくれる。






向島の町には、昔と今をふんわりとつなぐ優しさがある。

文化的なのに近寄りやすく、

住んでいる人も新しく訪れる人も分け隔てなく、

温かく包みこんでくれる。

受け継いだものを大切に育みつづける人々のお陰で、この町がある。

人は人によって温かい気持ちになるし、疲れたときには癒され、

時には新しいエネルギーをもらったりする。

そんな場所に人は惹きつけられ、集まってくる。

人の心を動かすのは人の心なんだろうと思う。

そんなことを考えながら、この町をあとにする。

「故きを温ねて新しきを知る」ということを、

五感をとおして感じることのできるすてきな町だ。


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