ゆたり倶楽部

[ギャラリー・アート] 記事数：35

◎ギャラリー・アート

Cloud Nine
[茨城県つくば市]

故きを温め、新しきを知る
昔ながらのつくばに息づくギャラリーカフェ

　築60年の亡き祖父の家を改装し、ギャラリーとして新たな息吹を吹込んだ浅川和哉さん。ジョージ・ハリスンの名盤「Cloud Nine」から店名をつけました。皆が幸せになれる新天地にしたいと願いを込めて。

　改装を決めたとき、心に確かなイメージがあったといいます。ギャラリーの壁は白がお決まりのところを、渋い木の風合いをそのまま残すことに。シックな木の色調が絵をより鮮やかに引き立て、また、アコースティックライブでは優しくまろやかな音を響かせます。「若い頃はモダン建築に関心があったけれど、たどりついたのは結局幼い頃から育った木の良さでした」。温かくも凛とした木造の風情が魅力的な空間です。
　「箱を貸すだけのギャラリーにはしたくないので」と、人と人とをつなぐ役割も積極的に果たす浅川さん。「お客さんには目当て作家とは別の作家の作品とも出会う場所でもあってほしい」と、1階には何人もの作家の作品を常に展示しています。経済的に余裕がない作家には良心的な値段で発表の場をつくり、制作意欲の刺激にしてほしいとも。「作家同士や作家とお客さんとの交流の場。ギャラリーの良さはそういうところにあると思うんです」。
　1階はカフェスペースと展示、2階では企画展を。作家が了承するなら2階でもコーヒーを飲みながらゆっくりと作品を眺めることができます。2階の床をくりぬいた部分からは2階のカウンターが見おろせ互いに言葉をかわせるしかけに。居合わせる誰もがまったりと心地のよい空気を共有します。