ひっきりなしに車が通る狭い道の一角に、「Gallery Saika」の密やかな看板を見つけます。小さな扉から中の様子はうかがえないので、ドアを開けるには少しの勇気が必要……。オーナーの海老沼彩花さんにそれを話すと「ギャラリーは入りにくい佇まいが当然よ。その気持ちを乗り越えた人にだけ、アートという秘密のお楽しみが待ってるの」と笑みをうかべます。
彩花さんはニューヨークで陶芸を学び、2006年に自宅を改装しギャラリーを開きました。その傍らで「東京•ニューヨーク姉妹都市交流陶芸コンテスト」の日本側理事を約15年つとめています。陶芸家としての作品は、草月流生花の師範でもあることから、花器を多く制作し常設展で人気を集めています。
しかし年内は常設展の予定はなく、企画展でスケジュールはいっぱいに。「大切な作品だからこそ、アーティストは発表する場の雰囲気にこだわりたいもの。この場所で発表したいと思ってくれるのはうれしい」と彩花さん。取材時は「創作人形展」会期中で、衣装の生地や仕立てなど細部にまでこだわった表情豊かな人形が迎えてくれました。
企画展は今後、ステンドグラスやアクセサリーなど幅広いラインアップが予定されています。そして11月には、ギャラリーの誕生祭ともいえる恒例の「手仕事展」を開催。プロアマ問わず作家が愛情を注いださまざまな作品が展示&販売され、彩花さんの花器も出展に向け新作を制作中だそうです。
「見るだけのアートではなく、気に入った作品を家に連れ帰り日常に融合させてほしい。そのためにも買いやすい価格の作品をできるだけ多く並べたい」と彩花さん。作家やその作品との巡り合わせに浸る、贅沢なひとときが流れています。(T.T)
住所/茨城県つくば市小野崎170-1
TEL・FAX/029-851-6600
営業時間/13:00~18:00
定休日/水曜
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