茨城県フラワーパークの目の前にある、木工ギャラリー兼カフェでありパン工房でもある「kikusa」で、週に一日、土曜日のみオープンするパン工房「ペトラン」。石岡市旧八郷町にある田中農園で採れる旬の野菜と自家製天然酵母、国産小麦で作るパンは、畑の恵みがぎゅっと詰まった大地の贈りもの。ベーシックな食事パンから惣菜パン、スイーツ系までバリエーション豊富で、開店前から行列のできる人気のパン屋さんです。
ペトランは、フランス語で「手でこねる」という意味。田中庸介(やすゆき)さん・久美子さん夫妻が営む「田中農園」に、2010年にできた加工・パン部門です。大学時代に、パン・菓子教室で基礎を学んだ久美子さん。卒業後は、フランス人料理家でライフスタイルアーティストのパトリス・ジュリアン氏の元で5年間働いたのち、将来は自分のお店を開きたいと、農と野菜を学ぶため縁あって八郷へ。農業研修先で庸介さんと出会い、現在に至ります。
季節感を大切にしているペトランでは、パンづくりに欠かせない酵母の顔ぶれも時期によって変わります。農園で収穫したニンジンや果実、地元酒蔵の酒粕をはじめ、地元で採れたイチゴや実家の庭でなった夏みかん、農園のハーブなどから起こしています。定番のカンパーニュ、イングリッシュマフィン、山食、カランツノアなどは、それぞれのパンに合った酵母を組み合わせます。その時々の“旬”を味わえるのもペトランならではのこだわりです。
小麦粉は北海道産と茨城産「ゆめかおり」をメインに、焼き菓子には旧八郷町の無農薬栽培のものを使用。小麦・塩・酵母・水をこねたらじっくり12時間から16時間ほど低温熟成させ、小麦の旨みを引き出して、香ばしく焼き上げます。
フランス流をベースにしつつ、旅行などで訪れたヨーロッパや北欧、ニューヨークといったさまざまな国の食をヒントに、オリジナルの味を追求。やさしい甘さのシナモンロール、ザクザクとした歯応えがクセになる全粒粉スコーン、田中農園の野菜をたっぷりのせたピザなど、素材を生かした絶品ぞろいです。「目をつむれば小麦畑が広がるような、小麦の風味を感じられるパンを心がけています。いつかは小麦も自分たちで作りたい」と話す久美子さん。ペトランのパンには美味しさだけでなく、食と真っすぐに向き合う作り手の想いもしっかり詰まっているのです。(R.Shibata)
住所/茨城県石岡市下青柳547-3(kikusa内)
TEL/080-1353-8585
営業時間/11:00〜(売り切れ次第終了)
定休日/日曜〜金曜(土曜のみ営業)
駐車場/有り
「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)