この記事は、2012年6月に作成したものです。現在は通常営業が無くなり、DM等で告知した特別な日時のみの営業となります。
表通りからそれて脇へと伸びる小道。いつもなら何気なく通り過ぎてしまう、目立たない路地。もしもそんな場所で偶然素敵なカフェを発見したら、きっと誰かに自慢したくなってしまう。Kadoya cafeは、まさにそんなお店です。
ここは、すぐそばにあるうつわ屋「慶瑞 あかまんま」さんが営むカフェ。奥さんの、祥子さんが切り盛りしています。お店で出すものは、添加物や加工品を一切加えず、親戚が育てた古代米や地元産の材料などを使って、祥子さんが手作りしています。カフェを始める前から、同じように家族の食事を作ってきたので「あたりまえのことだから」と笑顔。けれど“特別な味”はやっぱり伝わるものです。手間ひまを惜しまない料理に惹かれ、何度も通うお客さんもいるのだそうです。また、うつわは狭いキッチンに合わせて選んだそうですが、制約がある中でも「ちょっと幸せを感じる器にしました」と祥子さん。素敵なうつわやカトラリーを実際に使えることも、ここを訪れる魅力のひとつかもしれません。
カフェとしては珍しいこの木造2階建ての建物は、40年ほど前、ご両親の代に車庫として建てられたもの。改修はただ新しくするのとは違い、手間がかかり大変だったそうですが、その甲斐があって、古い車庫は懐かしい佇まいを残すカフェへと再生しました。店内でも一度役目を終えた物たちが再び活躍しています。テーブルには裁縫道具のルレットを引いた跡が残っていたり、二階へ続く階段は使い込まれて艶つやだったり。当時の暮らしのなかで、活躍していた様子が伝わってきます。実はお店の名前も再生したもののひとつ。「片づけをしていたら、大正時代に祖父が使っていた屋号の焼印が出てきたんです。もう決めていた名前があったんですが、やっぱりこちらを選びました」。軒先にかかる麻の暖簾には、その「角屋」の文字が印されています。大正といえば100年近く前のこと。きっとご先祖様も、思いがけない復帰を喜んでいらっしゃるでしょうね。(m.otk)
所在/群馬県藤岡市藤岡404-13
TEL/0274-22-1746
「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)