栃木の地酒や九州の本格焼酎、果実酒に国産ワインがずらりと陳列された店内。店の奥の趣ある古棚には、四季折々の手拭いや、益子で活躍する若手作家さんの酒器も置いてありました。
住宅街にある昔ながらの酒屋を先代から引き継いだ、柏次さんご夫妻が営む「かしわじ酒店」。お二人は、より多くの人にお酒を楽しんでいただきたいと、自分達らしい新しいスタイルのお店作りを追求しています。
「酒造りに対して、真面目に取り組む造り手の心意気を、お客様に伝えるのが私たちの仕事。有名無名にとらわれず、情緒とこだわりの感じられるお酒を大切に販売していきたいです」そう語る、若旦那の柏次享さん。自ら全国各地の蔵を訪ね歩き、選び抜いた蔵元からの直接取引がメインの品揃えは、どのお酒にも柏次さんの深い愛情と誠意が込められています。
そして、季節に合わせた柄の手拭いを使って、手際よく丁寧にお酒を包む奥様。この粋なラッピングは、美味しいお酒の魅力を引き出す演出だけでなく、贈る人と贈られる人が、もっと喜んでもらえたらという思いからはじまりました。「来年の干支にちなんで、ウサギの水引を作っているところなんですよ」と、にこやかな笑顔で話す奥様は、時に和服姿でお店に立つそうです。その凛とした佇まいと和のおもてなしは、日本人としてのさりげない心遣いと思いやりをもつことの大切さを実感させてくれます。
厳選された酒の肴、蔵元の名前がデザインされたキャップ、「糸の花」と名付けられたレース小物…柏次さんご夫妻が描く、これからの街の酒屋さん。「人の心」を一番に考え、自分を信じ突き進むお二人の姿は、静かな情熱に溢れていました。(m.m.)
栃木県宇都宮市御幸本町4558-12
TEL/028-661-0049
営業時間/9:00〜20:00
定休日/日曜日、祝日(12月は休まず営業)
「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)