江戸時代の末期に創業した「橋本旅館」。国の登録有形文化財に指定された現在の建物は、昭和4年に7代目が建てたもの。その一角に2013年3月、モダンな雰囲気のカフェが誕生しました。カウンターを含め25席を配する空間は、人気デザイナーが設計。古い建具や木材をいかしつつ、北欧の家具やアンティークで演出するなど、洗練されたインテリアに古い和のエッセンスが絶妙に調和しています。
震災直後の2011年4月に最愛の父を亡くし、経営を担うことになったオーナーの小貫恵美子さん。「由緒ある伝統を大切に考えながら、大好きなコーヒーが楽しめる場を提供したい」との思いから喫茶スペースをつくることに。
恵美子さんがコーヒーに興味を持つきっかけとなったのは、県内のあるカフェで飲んだコーヒーの記憶に残る味わいでした。「それからはコーヒーのことが知りたくて、本を読んだり、様々な種類のコーヒーを飲み比べたりしました」。大学の史学科を卒業した恵美子さんは、歴史的な視点からもコーヒーの文化に好奇心を抱くようになりました。生産地、栽培法、生産者など、様々な要素から生まれる味の違い。「そのバックグランドに思いを馳せてコーヒーを飲むと、ロマンを駆り立てられます」。コーヒー専門店に勤務しながら、コーヒーに関する勉強を重ねていくうちに、提供したいスタイルが段々とみえてきたと話す美恵子さん。
コーヒー豆は、豆ごとに異なるアロマを引き立てる半熟風焙煎の「ニコニコ珈琲」を使用。抽出法はネルドリップが中心。速すぎず遅すぎず、ほどよい一定のテンポで丁寧に落とします。豊潤さを漂わせつつ、さっぱりとキレがいい。イタリア製のエスプレッソマシンもそろえ、カプチーノやラテを提供。コーヒー400円~、ケーキセット800円、ランチ1000円~。
地元真壁では、2月から3月初めまで、約300軒以上の家や店にお雛様が飾られます。橋本旅館でも約300年前のお雛様を飾り、大勢の人が訪れ、恒例行事になっています。ここでしか味わえないコーヒーやスイーツを求め、足を延ばす価値ある一軒です。(K.K)
住所/茨城県桜川市真壁町真壁410
TEL/0296-55-0007
営業時間/11:00〜17:00
定休日/火曜、第3月曜日
「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)