※この記事は2011年11月に作成したものです。現在は閉店しています。
店名の「wabisuke」とは、冬の季語でもあるツバキ科の植物「侘助」のこと。寒い季節に咲く、白い花の静かな風情が好きだという店主の柳澤さん。店先に置かれた侘助の葉が、日差しを受けて真っ白な壁に映えていました。
存在感のある書斎机、ビロード張りの回転椅子、色とりどりのガラスを収めた医療用のケビント―。大正から昭和初期にかけてつくられた日本のアンティーク家具が並ぶ店内には、ゆったりとした空気が満ちています。
子どもの頃から古い物に興味があったという柳澤さん。使われなくなった古い工場がお気に入りの遊び場だったり、近くの遺跡で石器拾いに熱中したこともあったと笑います。アンティークの家具や雑貨に目覚めたのは20歳の頃。お店に通い、気に入ったものを少しずつ集めていったそうです。そのなかで、特に日本の古い洋風家具に惹かれていったのは、「職人さんの西洋に対する憧れと、逆にそれに負けまいとする心意気を感じられるところが好きで―。椅子の背もたれに施された透かし彫りとか、棚の目立たない部分に添えられた手彫りの模様なんかを見ると、当時の職人さんの誇りが伝わってくる気がするんです」。
うちに来たらのんびり過ごしてほしい、と柳澤さん。アンティークテーブルの一点、一点が個性を持っているので、気分に合わせて席を選ぶ楽しさも。また柳澤さんが丁寧に一杯ずつ淹れる珈琲は、コクと苦味がほどよい穏やかな飲みやすさ。アンティークカップでいただくと、ひととき日常を離れ、家具達が生まれたいにしえの時代に溶け込めるような気がしてきます。ひとりで訪れる方が多いというのも納得。自分の時間を静かに過ごしたいとき、扉を開けたくなる一軒です。(m.o)
住所/群馬県伊勢崎市連取町1516
TEL/0270-75-3987
営業時間/11:30~22:00
定休日/月曜日
「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)