ゆたり倶楽部

[カフェ・レストラン] 記事数：210

◎カフェ・レストラン

OVAL COFFEE
[栃木県宇都宮市]

「美味しくなあれ」と思いを込めて―
閑静な街並みにオープンしたクラシカルな喫茶店

　やわらかに香る、琥珀色の一杯の珈琲。ひと口味わうごとに、苦味と甘味の絶妙なバランス、まろやかな味わいとコクを楽しめるこの珈琲に、すっかり魅了されてしまいました。注文を受けてからから、一杯ずつハンドドリップで丁寧に珈琲を淹れてくれる「OVAL COFFEE」。「少々お待たせしてしまうかもしれませんが、心を込めて珈琲を淹れています」とオーナーさんは語ります。

　店内はオーダー家具がゆとりをもって配置され、オールドミュージックが流れる落ち着いた雰囲気。そこはまるで、いわゆる今どきのカフェというより、古き良き喫茶店というに相応しいクラシカルな空気感に包まれていました。入りやすくて居心地もいいからと、男性や中高年のお客さんも多く訪れるのも頷けます。
　メニューは、オリジナルブレンドをはじめとする珈琲や週替わりのケーキ、限定のランチなど。「季節のおすすめ珈琲」は震災義援メニューとして、一杯につき30円が東日本震災義援金に寄付されます。「私も少しでもいいから、何かの役に立ちたいと思って…。堅苦しく考えずに、珈琲を楽しみながら、自然なかたちで皆さんにもご協力していただけたら嬉しいです」

　そして、カウンターには数種のベルギービールが。「カクテルのように色も香りもいいフルーツビールは、ケーキとの相性もいいんです。散歩がてらに、気軽に楽しんでいただきたいですね」以前勤めていたカフェで、ベルギービールの美味しさを知ったというオーナーさん。珈琲店にビール…しかし、それは心にゆとりをもたらしてくれる「喫茶」の楽しみは、たくさんのスタイルがあるという、オーナーさんの思いがさりげなく込められているように感じました。
　「ドリップしているとき、心の中で『美味しくなあれ』って、言っているんです。口に出してしまうと、変な人って思われちゃうから、あえて言いませんが(笑)」
愛おしそうな瞳でコーヒーフィルターを折り続けながら、オーナーさんはそう言ってゆっくりと微笑みました。(m.m.)