ゆたり倶楽部

[カフェ・レストラン] 記事数：210

◎カフェ・レストラン

藤右エ門栄
[茨城県つくば市]

大切な人と特別な日に訪れたい
贅沢と癒しを同時に体験できる大人向けイタリアン

　歴史を感じさせる古い民家や田畑が多く残る、つくば市金田。それらの中でも特に威風堂々とした佇まいを見せる築180年の古民家が、独創的なイタリアンの店として静かな人気を集めています。

　オーナーシェフを務めるのは、東京のホテルなどで経験を積んだ後、つくばで計10店舗もの飲食店を経営してきた広田栄治氏。料理だけでなく経営の腕も高く評価される彼がさまざまな経験の末にたどり着いたのは、「作業としての料理ではなく、お客様の顔が見える距離で、そのお客様のためだけの料理を作って、心づくしのおもてなしをしたい」という、料理人としての基本に立ち帰る境地でした。
　その志のもと、土地探しと交渉に3年、改装に1年かけて完成したのが「遊食伊太利庵藤右エ門栄」です。雅な日本庭園と風格ある立ち姿、伝統的な内装の中に斬新なアイディアを散りばめた内装は、贅と癒しを同時に求める大人のための究極の食空間となりました。

　供される料理は、広田氏いわく「あっさり、さっぱりとしたイタリアン」。地元の採れたて野菜、つくば味麗豚など地の素材を生かすには、凝った味付けやオイルを多用した調理法は必要ないと考えたからです。例えばこの日のランチは、サッパリとしたライスサラダを上質なスモークサーモンで包んだ前菜や、ジューシーな地鶏のパン粉焼き、桜の葉や花びらで風味付けされたムースなど…。どれもイタリアンの重さを感じることなく、素材の美味しさをかみしめながらいただくことができ、舌の肥えた中高年や東京からのリピーターが多いというのもうなずけます。来店したすべてのゲストに関する料理や飲み物、話題などをデータ化し、何度訪れてもそのたびに新しいサプライズを感じることができるサービスも徹底。「予約を入れた時から始まるお客様の期待感に全力で応えたい」という広田氏の想いが、この店のステイタスをさらに格上げしている一番の理由と言えるのかもしれません。
　そんな広田氏、「この店をいつか、遠方からのお客様にゆっくりくつろいでいける宿泊施設を備えたオーベルジュにしたい。そこにはエステやシガーバーなんかもあって…」と、すでに次なる構想に想いを巡らせている様子。情熱と行動力で多くの夢を実現してきた広田氏の作る世界から、今後も目が離せません。（森田）