ステンドグラスと料理との共通点は? という質問に対して女将の長岡初恵さんは「色の組み合わせ」と答えてくれました。本業は30年以上続けているステンドグラスの講師。黒塀の向こうに一歩入ると席まで誘われる穏やかな彩色ガラスはもちろん女将の手作りで、夜になると更に幻想的な空間に変わります。楽土とはパラダイスを意味する言葉。視覚と味覚で桃源郷を目指しています。
料理との本格的な出会いは主婦になってからだそうです。お姑さんが料理教室の先生をしていた関係で、徹底的に家庭料理を仕込まれたと言います。主婦としての生活も一段落して、家族を楽しませるために出していた料理に更に工夫を重ねて6年前に「楽土」をオープンさせました。「温かいものは温かく、冷たいものは冷たく」。言葉にするのは簡単ですが、その料理の基本を忠実に守りながらも自由な発想で作るオリジナル料理。リピーターを飽きさせないように旬の野菜を中心に据えたコースメニューの統一感。大人が静かに食事と会話を楽しめる空間のプロデュース能力。それら全てを女将独自の感性によって磨き上げ、桐生の創作家庭料理というジャンルでは他の追随を許さない店になりました。最近では地元のFM局で料理コーナーまで任される多忙な日々を過ごしています。
その原点としてあるのは、料理を褒めてもらいたいという、主婦の頃からの願望だとか。姑から基礎を教わり、夫に連れられていったお店の味を工夫し、自分の子供に出すような心持ちで体に優しい料理を作る。そして家族の笑顔が全ての答えになる。欲でしているお店ではないから、より自由な発想が生まれ、一人ひとりの客の反応に女将自身が楽しむことができる。それが今の楽土のスタイルです。(R.M.)
群馬県桐生市広沢町3-4087-7
TEL/0277-53-2118
営業時間/11:00~14:00、17:00~22:00(完全予約制)
定休日/日、月曜
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