自然が多く残る静かな住宅地のはずれに建つベーカリー「david pain」。ひときわ目を引く深緑色の建物と、奥様のお父様手作りの大きな看板が目印です。
店を切り盛りするのはフランス・コルシカ島出身のダヴィッドさんとその奥様。パリで結婚後に奥様のふるさとである茨城に移り住み、「のんびりした田舎の空気と都会の便利さが同居しているところが気に入って」つくばに店舗兼住居を構えました。オープンから3年、その間に二度の出産などもあり、「今までのことを振り返っても思い出せないぐらい忙しかった」と語る奥様。その努力が実を結び、今では近隣だけでなく他県から足を運ぶ常連客や、遠くは九州からのネット注文など、多くの人に愛されるベーカリーとしてその名を知られるようになりました。
ダヴィッドパンの一番の特徴は、自家製天然酵母を使ったパン作りにあります。
「小麦粉をベースとしたフランスの伝統的製法による自家製の天然酵母には、イースト菌には出せない深い味わいがあります。パンの種類によっては2日間じっくり発酵させることもあるほど手間ひまはかかりますが、外はパリッと、中はフンワリの食感はこの天然酵母ならでは」とダヴィッドさん。原料の小麦粉、砂糖、ドライフルーツはオーガニックにこだわり、その他の素材もできるだけ有機栽培に近いものや地場野菜を厳選。ダヴィッドさんの気持ちの真ん中にあるのは「シンプルな美味しさ、という点で際立ったパンを作りたい」という思いなのです。
そんなダヴィッドさんの熱意がぎっしり詰まったパンは小さな子供や高齢のファンも多いそう。「自分の親よりも年上のお客様がバケットなどハード系のパンを買いに毎週のように足を運んでくださる。こんなに幸せなことはないなぁ、と思います」と奥様。そして「シンプルなパンほど作り手の腕や素材の良しあしがダイレクトに伝わる。ごまかしがきかないんです。本場フランスではパンは毎日の食卓に欠かせないものですが、日本でも、例えば肉ジャガと合わせるぐらいの感覚で、パンが自然に普段の生活の一部として溶け込むようになるといいなぁ、と。小さな店にしか出来ないことがあると思うので、これからも基本を大切に、今のままこじんまりとやっていきたいですね」と語るダヴィッドさん。パンの美味しさはもちろん、ご夫妻の誠実さや暖かさも「ダヴィッドパン」が多くの人に愛される理由の一つなのかもしれません。(M.M)
茨城県つくば市牧園7-11
TEL&FAX/029-871-1214
営業時間/7:30~18:00(商品がなくなり次第終了)
定休/月曜日、火曜日
「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)