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水戸でつくられた提灯を「水府提灯」と呼びます。「水府」とは水戸地域の称ですが、「岐阜提灯」「八女提灯」に並ぶ提灯の産地であることは、あまり知られていません。
水府提灯は、江戸時代に水戸藩の石高が大幅に下回り窮乏した際に、下級士族が自らの生活を支える手段として内職に取り入れたとされています。水戸藩領内には「西ノ内」と呼ばれる丈夫な和紙の産地があり、この紙を使った丈夫な提灯が人気をよんだのです。これら水府の伝統技術を現代に伝える老舗の提燈製造問屋が「鈴木茂兵衛商店」なのです。
社長の鈴木隆太郎氏は、提灯の定義を「折り畳む事ができること」と話してくれました。それ以外には、あまり細かいことは言いません。「提灯は完成されてしまっているから、なかなか進化できないでいる。だから、もっと自由な発想やデザインが必要なんです」鈴木社長は、数年前からデザイナーとのコラボレーションをはじめ、提灯の新しい可能性にチャレンジしています。
例えば、一升瓶やワインのボトルの形状をリアルに再現した「壜型ちょうちん」(意匠登録/1191483)。酒造メーカーや店舗等の販促提燈として、灯袋にラベルのデザインをまるごと印刷することができます。若いスタッフの研究実験の成果が実り、専用スタンドも自社開発いたしました。
また、外部のデザイン会社との連携によるデザイナーズ提燈や広告燈も新しい試みといえます。
これらの新たな挑戦の影には、100年以上続く老舗だからできるノウハウの蓄積と、新素材づくりへの取組み、コンピュータやCAD等の最新テクノロジーのバランスのとれた活用。そして、なによりも柔軟なアイディアを生む人材の存在にほかなりません。
今後も柔軟な発想とデザインで、新商品開発への取組みに期待したいところです。
近年、提灯はお盆や祭りといった特別の行事にしか、見る事ができなくなりました。しかし、提灯のほのかな灯りは、世界中の誰もが癒される優しい灯りだと思います。鈴木茂兵衛商店の新しいデザイン提燈からも、「ゆたり」らしい変わらぬ情緒やゆとりを感じる事ができました。(YT)
茨城県水戸市袴塚1丁目7番5号
Tel/029-221-3966
Fax/029-231-7862
営業時間/9:00〜18:00
定休日/土日祝日(6月15日より7月31日は水曜日のみ休業)
http://www.suzumo.com/
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