秋の訪れとともに、滝の水しぶきに映える紅葉をめでる観光客が訪れる袋田の滝。マイカーがUターンするロータリーに面したところに双葉があります。
山を彩る紅葉のように5色のこんにゃくがこの店の名物です。黒はヒジキ、赤はトウガラシ、緑はクレソン、黄色はユズ、白は自然のままに彩り豊かなこんにゃくは、シズル感たっぷり。日本人が作り出した食材の繊細さが、目と舌とで楽しめるものであることを実感できます。
小野瀬洋一さん、和紀さん父子が丹精込めた作ったこんにゃくのほか、ご当地ならではのアユの塩焼きが店頭に並び、観光客の足が踏みとどります。炭火にこんがりと焼けたアユのそばには大きめの3兄弟のお団子も整列し、ちびっ子にも人気。自然素材にこだわった素朴な味は、土産物店が並ぶ界隈でも、ひときわ異彩を放っています。
圧巻は山の恵みがたっぷりと味わえるうどんの具。ヤマイモ、キノコ、かんぴょう、山菜などが、それこそ山盛り。自然豊かな山と清冽な水とが産み出した食材のハーモニーは、この上ない幸福をもたらしてくれるものです。さらに、山菜を中心とした天ぷらは、ボリューム感たっぷりで、ここは、味付けに塩をチョイスしたいところ。「スローフード」という言葉は、日本の食べ物にこそ似つかわしいと思えるはずです。
単なる食事処とは違うのは、日々研鑽を重ねているという新メニュー。この日はそば粉をゼリーにしたデザートを注文すると、店の裏山に咲く、四季折々の草花が添えられており、観光地にありがちな気ぜわしく食事をするという風景とは無縁な、贅沢な時間が漂います。
気軽に店員さんと話しができるテーブル席のほかに、滝の散策に疲れた足を伸ばすことができる畳の座敷。飲食店としての備えは、袋田という観光地にとてもマッチしていて、自分だけのくつろぎと憩いの時間が流れていきます。心も体も喜ぶ味と店構え、さらに小野瀬父子のもてなしのサービスは「他とは違う!」を体験できる食空間です。(Y.M)
茨城県久慈郡大子町袋田183
Tel/0295-72-3217
営業時間/9:30〜16:30
定休日/不定休
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