ゆたり倶楽部

[ギャラリー・アート] 記事数：35

◎ギャラリー・アート

くらしのうつわ土の花
[栃木県宇都宮市]

お気に入りの器で、心癒されるひとときを。
地元陶芸品の素晴らしさが輝く、小さなお店

　今から7年ほど前に、店主さんの自宅ガレージだったスペースを改装して作られた「くらしのうつわ土の花」。隠れ家的なこのお店は、地元・益子で活躍している陶芸作家さんたちの、感性輝く様々な器を扱っています。

　植物好きな店主さん。むき出しのコンクリートの壁に鮮やかなグリーンが映え、瑞々しい空間を演出しています。足元には、県内で採掘される大谷石の石鉢も。手彫りならではの独特の質感が実に趣深く、他にはない逸品です。そして、温もりに満ちた益子焼の器たち。土の性質上、ぽってりとした厚みが特徴の益子焼の器は、手に取っただけで、ほんのりとあたたかな気持ちにしてくれます。

　益子焼という焼き物の文化を通して、心豊かな毎日を過ごすお手伝いを―というコンセプトのお店。おいてある器は「飾る」というより、「使いたい」と思うものばかりです。「器って、不思議と使えば使うほどに愛おしくなるんです」と、店主さん。「日頃忙しくしているからこそ、お気に入りの器を手にして、ほんの少しの時間でも心が癒されるひとときを過ごしてもらえたら…。多くの方々に器というものを、もっと身近な存在として、大切にしていただきたいと思っています」
　また、作家さんの個展だけでなく、リメイクした着物の企画展なども開催。ひとつひとつ、気の遠くなるほどの丁寧な手作業と、思いを込めて受け継がれる伝統工芸の素晴らしさを広め、次の世代に伝えていきたいという店主さんのささやかな願いは、この小さなお店に静かに溢れていました。
　世の中の全てのものは土から生まれ、それぞれに美しい花を咲かせている―。「土の花」では、今日も心に安らぎをもたらす花々が可憐に咲いているのでした。（m.m.）