市松に染め抜かれた大きな暖簾の掛かる入口の側に「日本茶 コーヒー カフェ サロン 書籍棚 見立ての品 古物 いけばな ギャラリー」と書かれた木の看板がイームズチェアの上に置かれています。多面的な要素を合わせもつこの空間は、人と物との出会いを通じ、世界の広さに気づくハレの間です。
「呑龍さま」の愛称で親しまれている群馬県太田市の大光院表参道に「呑龍文庫ももとせ」はあります。店の壁一面には茶道や着物、デザインなどに関する本があり、訪れた人はそれらを自由に閲覧しながら過ごせます。また「ももとせ」は「百年」を意味し、店内では亭主の木口和也さんが「百年先も使っていたい」という基準で選んだ日本各地の品々に直接触れ、もし気に入れば購入することも可能です。飲み物は浅蒸し煎茶やかりがねほうじ茶、和紅茶やオリジナルブレンドの香草茶などがあり、また週替わりの上生菓子を抹茶と味わうこともできます。
「カフェに行くのはどんな時ですか?例えば僕の場合は、自分の気持ちをいったんリセットしたり、普段はしないような親密な話を友人としたりしたいと思った時です。店に一歩入れば日常ではないハレの空間が広がっているようなところに足が向きます」と木口さん。「自分の店もそんな場所でありたいですね」
開店から二年半が過ぎた今も試行錯誤を繰り返しつつ、不定期ながらアイデアに富んだ企画展やイベントも開いています。「日本の伝統文化やデザイン、アートなど今まで知らなかったことを知るきっかけの場になればと思っているので、気軽にのぞいてみてください」。暖簾の先には、新しい世界が広がっています。 (郁)
住所/群馬県太田市金山町14-7
TEL/0276-50-1628
営業時間/土曜日13:00〜21:00
日曜日13:00〜19:00
定休日/月曜~金曜
「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)