新しい時代への幕開けであった明治の初頭、近代化を進める政府によって建設された富岡製糸場。かつては製糸場としても世界最大規模、赤レンガにアーチ作りと当時の日本人にとって見るも新しい別世界の建物だったに違いありません。殖産工業に栄える街に建った一軒の民家が、富岡製糸場の世界遺産登録を目指す今、100年以上の時を越えて2008年に再びCAFE DROMEとして甦りました。
シャンソンの心地よい音楽が流れアンティーク風の家具が並ぶ店内。二階へ進むと古い梁やむき出しの土壁が当時のまま残っています。飾られたモノクロームの写真には急激に変化したであろう当時の人々の様子が映し出され、長い年月の移り変わりを感じます。
店長の清水さんは「地元の農家さんに少しでも貢献できたら」と地元産小麦、味噌、繭で作られたシルクタンパク液などを使ったカフェメニューを提供しています。「シルクシフォンケーキ」はシフォンケーキにシルクタンパク液を入れることでふわふわとした食感になり柔らかな甘さも加わるそう。昔の保存食でもあったお味噌をプリンと合わせた意外な一品「プリン底が味噌」は、なめらかな口当たりでお味噌の塩気がアクセントになっています。
和洋の文明と、1世紀以上の時間が融けこんだCAFE DROME。これからの目標は?と伺うと「初心を忘れず、幅広い年代の方にゆっくりしていってほしいですね」とのこと。ゆったりとしたシャンソンの音色に耳を傾けつつ、テラスから見えるのは製糸場へ向かう人の流れ。この民家が建った時代にも今に似た光景が広がっていたのでしょうか-。ノスタルジックな気分に浸れる古民家カフェです。(e.suwa)
住所/群馬県富岡市富岡51-4
TEL/0274-67-1123
営業時間/8:30〜17:00(L.O.)
定休日/年末年始
「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)