焼き物の町・益子、陶芸村の奥にひっそり佇む「11/2(イチトニブンノイチ)」。青い扉の先には、コーヒー豆の香ばしい匂いがほのかに香る、真新しい焙煎機が。「近々、焙煎小屋も作る予定なんです」と、コーヒーに深い思い入れを抱くオーナーの櫻岡さん。
「あなたはコーヒーと美術のことしか考えていないって、親しい人に言われてしまうんです」と苦笑いをしながら、お話をしてくれました。
アンティーク家具や輸入雑貨、美術品に加え、ご自身も表現者として制作を続けている櫻岡さんの作品がディスプレイされた店内。窓際のテーブルは打楽器のティンパニー、廃材で作られた飾棚など、櫻岡さんをはじめ同様の表現者たちによって生み出されたこの空間は、その存在そのものがミライを繋ぐひとつのアート作品のようです。
以前、櫻岡さんが通っていたパリのサロン。多くの文化人が集い、コーヒーを片手に思い思いに語らう日常の光景を目にした櫻岡さんは、こう思ったそうです。コーヒーは文化と文化を繋ぐ接着剤のようなもの―。「益子は様々なジャンルの人々が集まります。そんな地で、このお店は文化や人を繋ぐ存在でありたい。テーブルには一杯の美味しいコーヒー。そのコーヒーを心を込めて、丁寧に入れてあげること。これが僕の役割でもあり、仕事だと思っています」
感性を揺さぶり、新しい一歩を踏み出すきっかけになるカフェ&アートスペース。櫻岡さんのコーヒーをゆっくり味わいながら、個性溢れる作品を眺めていると、自分の中のまだ見ぬ可能性を発見できそうな気がしました。美しき文化とミライの発信地―このお店は感性を豊かに、美術を身近に感じられる場所なのです。(m.m.)
栃木県益子町益子3435-1(陶芸村内右奥)
TEL/0285-72-6123
営業時間/11:30〜21:00
定休日/金曜日
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