小山の住宅地の一角にあった小さな自家製酵母パンの店iipan。店主の立堀綾子さんは結婚、出産を経て、心機一転、旦那様のご実家で再びパン屋iipanをオープン。新店舗はご主人のご実家が営む畳屋さんと併設した形となって生まれ変わりました。
「震災で主人の実家もあちこちダメージがあったので、それもきっかけで家を建て直してこのような形になりました。畳屋さんとパン屋さんちょっと不思議な組み合わせですけどね」
新店舗は前のお店とはガラッと環境も変わって、小山駅からのびる大きな通りに面した場所にあります。白を基調にしたシンプルでナチュラルな店構えは、その通りのなかでも一際目を引きます。中に入ると、柔らかな光が差し込み、木のぬくもりを感じる店内。「前の店と同じように、友人である大工さんに内装をお願いしました。前回は私も壁塗りなどもしましたが、子育て中なこともあり、すっかりおまかせでやってもらいました」
中は畳屋さんともつながって行き来できる作りになっています。畳の文化から少し遠くなっている今の人たちにも興味を持ってもらえれば、という狙いもあり、棚には益子の作家の焼き物などとともに、い草で作られた雑貨も並びます。
店内にはゆったりとしたスペースがあり、テーブルや椅子も用意されています。そのスペースを生かそうと、オープン当初から考えていた食材や雑誌などパンや焼き菓子以外の物販も始まりました。「最初はドリンクの提供くらいになりますがイートインも始めようと思っています。オープン当初からのカフェ構想も膨らみます」
パンの味はそのまま、自家製酵母、栃木県産小麦粉をメインにした、味わい深いパンが揃います。味や香りに変化をつけたいと、玄米酒粕の酵母を使用したパンも仲間入りしました。以前は素材へのこだわりや店の場所柄、お客さんはパンが好きな若い女性が中心だったそうですが、いまは近くに駅や高層マンション、役所などもあり、お客さんの幅は広がったとのこと。やはり柔らかいパンを求めてくる年配のお客様もいらっしゃるそうですが、パンの種類をむやみに増やしたりはせず、基本的には自分がおいしい、作りたいと思うパン作りを続けています。そしてパン以外に人気なのがアップルパイ(¥380)。これを目当てに来るお客さまもいるというそのパイは、生地もフィリングもノーシュガー。素材の味が伝わる一品です。
もう少し個人店の繋がりを作りたいと思っている立堀さん。主婦業、育児に自分の仕事と「毎日があっという間でなかなかやりたいことが…」とは言いながらも、ここでできるイベントなども今後は考えているそうです。新しい場所で、これからできることを少しずつ増やしながら、この町に根を張っていく。そんな未来が楽しみなお店です。(eMi.S)
栃木県小山市城山町2-7-24
TEL/0285-37-6861
営業時間/12:00~17:00(売切れ次第閉店)
定休日/月・火・木・日・祝日
「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)