現在72名の作家を抱える手作り雑貨委託販売店「豆あじ」。4月のオープンからわずか半年ながら、今やひっきりなしに雑貨ファンが訪れる人気店となった秘密を知りたくて、オープン直後のお店にお邪魔しました。
「長年サラリーマンをやっていましたが、木工品作りが趣味で、ガーデン雑貨や自宅のリフォームなど時間を見つけてはちょこちょこやってたんです。それが、フリーマーケットやフェスティバルで販売するうちに、自分のショップを持ってみようかな、と思うようになって」と語るのは店主の松島健介さん、通称KENさん。柔らかな物腰、雑貨への熱い想いを語る表情は人を惹きつける魅力に溢れ、多くの作家さんやお客さんがつい長居してしまうというのもうなずけます。
「それがいざこの店舗を借りてみると思っていたよりもスペースが広くて。で、自分の作品だけじゃなくいろんな雑貨の販売を引き受けてみるのもいいかな、と」。それからオープンまでの3カ月は「人生で一番忙しく働いて充実していた日々」とKENさん。リフォーム経験やサラリーマン時代に培った流通や営業のノウハウ、フリマめぐりで得た人脈などをフルに活用。雑貨好きの奥さまの協力もあり、「心温まる雑貨店」というコンセプト通りの温もりある空間が誕生しました。
豆あじで現在取り扱っているのは、木工品、ビーズやガラス小物にアクセサリー、布の小物や洋服など。最近では毎日のように売り込みの問い合わせがあるそうですが、実際に店頭に並ぶのは面接で店のコンセプトや客層に合うと店主が判断した作家さんの作品だけ。「産直価格です」と笑うKENさんの言葉通り、驚くほど手頃な価格で完成度の高い雑貨がズラリと陳列されています。店に顔を出した作家さんと、その作品の熱心なファンが店で遭遇して「握手してください!」なんてことも。1時間以上滞在するお客さんが多いのもこの店の特徴です。
「自宅でコツコツ作るだけだったという作家さんが初めて作品が売れた時に嬉し涙を流したりすると、ホント感動しますね。ボクはここで種を播いているだけ。豆あじを拠点として多くの作家さんが羽ばたいていったり、作家同士の輪が広がっていくことが一番の願いです」とKENさん。実際、ここで出会った作家同士がチームを組んで作品を発表することもあるそうで、もはや豆あじは「委託販売店」の枠を超え、作家の活動ベースのような存在となりつつあるようです。
「これだけ素晴らしい作家達や素敵なお客さんと交流を持てることが何よりの宝です。つくばは秩序と創造性が同居した魅力的な街。いつの日かこの街で、ここに関わるあらゆるジャンルの仲間が集ってイベントを開催できたら楽しいでしょうね」と語るKENさん。彼と、彼に惹かれて集まる作家達とお客さん・・・。その輪がこの先さらに広がりを見せることはどうやら間違いがなさそうです。(森田)
住所/茨城県つくば市上横場2272-6
TEL/029-875-9639
営業時間/10:00~18:00
定休日/日曜日
「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)