ゆたり倶楽部

[雑貨] 記事数：67

◎雑貨

sucré
[栃木県宇都宮市]

時を越えて伝えられるやさしい思いが煌めく、
宝石箱のような小さな雑貨屋さん

　「迷子になってしまったら、ご連絡くださいね」そう優しく気にかけてくれたオーナーの加藤さん。案内通りにお店に向かってみると、閑静な住宅街の奥へ…。戸惑いながらも、ようやく「sucré」と書かれた看板を見つけることができました。

　爽やかなオリーブの木や可憐な薔薇が咲く庭の奥に、ひっそり佇むこのお店は、加藤さんがフランスの蚤の市などで直接買い付けした、アンティークを扱う小さな雑貨屋さん。日本で作られた年代物の棚や机に飾られた、西洋の繊細で味わい深い雑貨たち。和と洋がしっくりと馴染み、安らかな空気が店内を包みこみます。家具ごとそのままの状態で、自宅まで持ちかえりたいと思ってしまうくらい、加藤さんの作り上げたこの素敵な空間に、思わずため息がもれてしまいました。
　ふと目にとまった、お店の扉や窓にかけられた白いカーテン。近づいてみると、ほころびを直した跡がありました。「向こうで暮らす人たちの、ものを大切にする姿勢にひかれるんですよね。このカーテンは、昔は古いシーツだったもの。つくろい具合が、なんとも可愛いらしくてつい…」と、微笑む加藤さん。様々な時代を越え受け継がれていくもの、そして思い。加藤さんはアンティーク独特の風合いだけでなく、時代背景や心のつながりも魅力なんですよとお話しされました。

　「このメモ書き一枚壁に貼っただけで、ほら、素敵だと思いません？」100年以上前のガラスネガ、錆ついた石鹸置き、シミのとれないお皿…ひとつひとつ愛おしそうに手にとる加藤さん。大きさや価値、状態よりも、その品がもつ雰囲気を大切にしている「sucré」のアンティーク。あなたも、巡りゆく時を越え、このお店に辿り着いた心和む雑貨と、色あせない思いにふれてみてはいかがでしょう。（m.m.）