紅葉に色付いた山々を眺めつつ、取材に向かった10月の下旬。車で林道を登り看板を右に進むと森の奥に小さなガラス工房-Taiga Galssがありました。作家の畠山太雅さんの作品には不思議な魅力があります。わずか2、3cmほどのガラスは一つとして同じものは無く、どれも引き込まれてしまうような奥深いものを感じます。透明なガラスの中に封じられた模様は、花弁が幾重にも重なりまるで花が咲いたよう。一方は藍色のガラスの中に金の粒が浮かび宇宙のような雰囲気、もう一方は幾何学模様にも似た神秘的な曲線の形-。
工房内に入ると奥に作品の並ぶギャラリーがあり、右側の作業台にはガラス管やバーナー、作業道具が整列してまるで実験室のような雰囲気がありました。ここではガラス体験も可能で、お手本として畠山さんの制作工程を見てから自らの作品作りに取り掛かります。あの繊細なガラスはどのようにして作り出されるのか、お願いをして作業風景を撮影させていただきました。バーナーを用いた約2000℃にもなる炎の中で赤く溶けたガラスをくるくると回しながら、テンポ良く模様を付けると、ぱあっと花が開くように変化をします。間近で見るガラス作りの様子にも、やはり美を感じずにはいられませんでした。
実は別の顔も持っている畠山さん。夏はラフティングガイド、冬はスキー場のパトロールをして忙しく活動しています。工房を開く以前にはラフティングガイドとして四国を拠点とし、時には外国に向かうこともあったそう。そして定住の地に選んだのは山と川、自然に囲まれたみなかみ町。山の暮らしでは草刈りや雪かきなど手のかかる作業もありますが、どれも苦にならないそうです。四季ごとに変る生活のリズムに沿って、どんなガラスを作ろうか思い描き、制作をする-。それは心地よい暮らしと仕事が一体化した、理想郷のようにも思えました。(e.suwa)
住所/群馬県利根郡みなかみ町湯原686-3
TEL/0278-72-6885
営業時間/10:00〜17:00
定休日/火曜日(※お問い合わせのうえご来店下さい)
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