大田原市の田園地帯、親園。広がりゆくのどかな風景にまるで溶け込むかのように、ひっそり佇む「秋元珈琲焙煎所」。お店に近づくにつれ、焙煎されたばかりの珈琲の香りが辺りの空気と一体となり、訪れる人の心を穏やかに満たしてくれます。
この焙煎所を営む秋元健太さんは、地元生まれ地元育ち。県外の大学を卒業後、一度は地銀に就職したものの、以前から興味のあった珈琲やカフェの夢が諦めきれなかったという秋元さん。退職を決意した後、那須町の自家焙煎珈琲店に見習いとして働きながら、本格的に珈琲を学び、秋元さんは2年間の修行を経て念願だった焙煎所の夢を叶えました。
「農産物である珈琲は、世界各国のたくさんの方々の手によって大切に栽培・精製され、海を渡り、私たちの元へと届きます。私たち焙煎人は、珈琲豆として完成する最終地点としての責任をもち、その一粒の小さな豆に込められたつくり手たちの想いを、感謝と敬意の気持ちを忘れることなく、きちんと表現しなければなりません」
やさしい笑顔の奥に秘められた、秋元さんの珈琲焙煎人としての揺るぎない覚悟。その想いをかたちにしたのが、焙煎人の考えをそのままに味わえる3種類のオリジナルブレンドです。
「朝露」「黄昏」「夕闇」―。趣ある日本の情景を想い浮かばせる、情緒豊かなこれらの言葉が付けられた秋元さんの珈琲豆。初めて訪れた方でも、自分好みの珈琲をゆっくり選べるように、懐かしさに溢れる小さな和室ではそれぞれの豆の試飲も可能です。
「この場所からの眺めが好きなんです」
曾祖父母が暮していたという、大好きな隠居部屋を自らの手で改装した焙煎所。店を構えるならここしかないと幼い頃から親しんだこの場所で、移りゆく季節と共に、変わらない珈琲の美味しさを追求し続ける秋元さん。「珈琲を通し、今と日常に幸せと」と願いを込め、一粒の豆のもつ魔法を信じる秋元さんは、今日もこの安らぎの場所で、ただひたむきに焙煎を続けるのでした。(m.m)
住所/栃木県大田原市親園2301
TEL/080-8874-8361
営業時間/13:00~18:00
定休日/日曜、月曜、火曜
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(登録第5290824号)