ゆたり倶楽部

[カフェ・レストラン] 記事数：210

◎カフェ・レストラン

toko
[栃木県宇都宮市]

いままでとこれからのつながりを大切にしたくて―
美味しいご飯で心にぬくもりをどうぞ

　ほかほかの白いご飯と、やさしい香りのおみそ汁に心癒されるある日のランチタイム。ショーケースからお気に入りのお惣菜を選び、日替わりのメインが運ばれてきました。ここは宇都宮市東町の住宅街に昨年の秋、リニューアルオープンした「toko」。広々としたカウンターに腰をおろし、さり気なく飾られた菜の花を眺めながら、春の訪れを感じさせてくれるあたたかな食事をいただきました。

　白を基調とした清潔感と開放感のあるシンプルな空間。カウンター席のほかにも小上がりの部屋には、長テーブルもありゆっくりとした時間を過ごせます。「お客さんが『ただいま、今日のご飯なに？』って言ってくれるような、家庭的なぬくもりのあるお店にしたかったんです」と、そう話すのがオーナーの漆原さんです。
　このお店は以前、漆原さんのご両親が経営していた居酒屋さん。漆原さんも、学生時代からずっとご両親のお手伝いをしてきたそうです。しかし、老朽化に伴い、お店を続けるか続けないという判断を迫られたとき、決断の決め手になったのが、常連さんたちからのお店への愛が込められたたくさんの言葉でした。「私自身、お店と共にお客さんを支えていたつもりが、実は足繁く通ってくれたお客さんたちが、このお店を支えてくれていたことに気づかせてくれたんです」

　今まで来てくれていた常連さんと、新しく来てくれたお客さんがこの場所で一緒にいい時間を過ごしてもらいたい。そして、美味しいもので少しでも健康な身体になってもらえれば…。漆原さんの思いが込められた「toko」の料理。カフェでも定食屋でも居酒屋でもなく、「おかえり」という言葉が似合うこのお店の・・台所で、やさしい明りを灯しながら、漆原さんは今日もにこやかにお客さんの帰りを待っているのでした。(m.m.)