ゆたり倶楽部

[カフェ・レストラン] 記事数：210

◎カフェ・レストラン

Focori
[栃木県宇都宮市]

ほっとできるひとときを―
思いを信じて誕生した、あたたかな空気流れる小さなカフェ　

この記事は、2012年9月に作成したものです。現在は、閉店されています。
「ジューッ」とフライパンの上をバターが踊り、いい香りが店内いっぱいに広がります。大きな引き戸からキラキラとした光が差し込む、夏の昼下がり。生地を流し、柴田さんはにこやかにホットケーキを焼きはじめました。

　宇都宮市錦の「Focori」。まるでずっと前からそこにあったような、ほっとできる空気感をもつこのカフェは、実は７月にオープンしたばかり。「一生の仕事として、いつかはカフェをやりたいと思っていました」と話すオーナーの柴田さんは、男の子２人のママでもあります。結婚を機に栃木での暮らしをはじめ、生活にも育児にもまだ慣れていなかった頃、ふらりと立ち寄った一軒のカフェ。コーヒーを片手に、ほんの少しだけゆっくりできたそのひとときが、頑張り過ぎていた柴田さんの心を癒してくれたことがきっかけになったそうです。

　家庭をもってからのお店づくりが、どんなに大変なものかというのは承知の上。やらないより、やって後悔したほうがいい―そう柴田さんは、お子さんが寝静まってからの深夜のアルバイトや開業講座での勉強と多忙な毎日を送ります。「家事と育児と仕事と、こんなしんどいことやめようって何度か思ったこともあります。でも、しんどいからこそ楽しみが待ってる―そう信じてやってこれました」
　そんな柴田さんのお店の看板メニューなのが「牛すじカレー」。とろとろに煮込んだ牛すじ肉にゴロッとした大根が入っている和風カレーは、今の味に完成するまで８年もかかったとか。店内には焼き菓子や雑貨、古本も販売しているので、お腹がいっぱいになった後に、ちょっとしたお買い物も楽しむのもおすすめです。
　「これからはここで、ケーキ教室やワークショップなど人が集って何かを作りだしていけたら」と柴田さんの夢はまだまだ尽きないよう。でも、きっと柴田さんなら叶えていけるはず。出来たてのホットケーキには、とびきり美味しさだけでなく、これからの思いもたっぷりと込められていたのですから。（m.m.）