※この記事は2012年12月に作成したものです。以前は「はなめがね本舗」として営業していましたが、現在は店名を変え「ハナメガネ商会」として営業中です。
ウェブショップを覘くとそこはレトロな香りのするワンダーワールド。どんな古本屋さんなのかとその正体を目にしようと向かった先、赤い看板が目印の真新しいおうち。その一角に、はなめがね本舗はありました。
はなめがね本舗は栃木・益子と京都で展開している古本屋さん。それもただの古本屋ではなく、レトロな雰囲気たっぷりで女性が好みそうなセレクトの本プラスこけしのある古本屋さんなのです。数年前に友人と東京の不忍ブックストリートの一箱古本市に出たのがきっかけで活動を開始、2008年にwebショップを立ち上げ、友人は京都で町家古本はんのきを、マスダさんが2012年の2月にこの益子店をオープンしました。
もともとは編集の仕事もし、本が好きだけれど、それほど古本に興味はなかったというのは店主のマスダさん。「友人と一箱古本市に出ようということになったのですが、それまで古本屋さんは硬いイメージしかなかったのですが、私の知らない古本との付き合い方があるのだなあ、とそこから世界が広がっていきました」学生の時から同じ学部で日本語や日本文化などを学んでいた友人との好みは一緒で、おふたりとも大正ロマンとか昭和レトロの世界に興味があり、自然と「はなめがね本舗」の世界が確立されていったそうです。「昔の奥さんの本棚みたいなものを作りたいな、なんてイメージを持ちながら本を選んでいます」
昭和30年位からの生活の本や料理本、まんが、今もある雑誌の30年以上前のもの…本棚を眺めているとすっかりタイムスリップした気分を味わえます。そんな女性向けの本の中で、少しおじさん向けのサブカルチャーなテイストの本もあり、「女の子の頭の中って、かわいいものばかりじゃなくて、ちょっとエッチなものとかも気になる。そういう感じじゃないかなと思って」少しクスっとしてしまうような本もまるでピリッとしたスパイスのように本棚に並んでいます。そして本だけでなく、ちょっと風変わりな雑貨や、こけしも一緒に並び、これがまたはなめがね本舗独特の空気を作っています。こけしは熱心なファンの方がいるので、こけし目がけていらっしゃるお客様も少なくないそうです。
今でも機会があれば、さまざまなイベントに出店しているというマスダさん。行く先の地域性の違いで、お客さんの反応も違ってくると言います。「東京と地方での違いもいろいろあります。個人的な感想ですが栃木の方は、絵本や暮らしにまつわる本などご家族で楽しめるものをお選びになる印象です。古本屋に馴染みの薄い方も多いかと思いますが、もっと気軽に古本を楽しんでいただければうれしいです。古本は硬いものでも難しいものでもなんでもなくて、その時代の人たちが考えてきたことが記されているもの。古い本を読めば、時代のムードや、そこで生きていた人たちの暮らしが見えてくる。本は人が作るものだから」
古本を次の世代へと手渡していくことを丁寧にやっていきたい、そう語るマスダさん。本を選んできたというよりも本に巡り合い、本にここまで連れてきてもらった。古本屋であることでまた人とも新しい出会いが増えていく。そんな風に面白い出会いを繰り返していきたいというマスダさんは、これからも世の人に「はなめがね」のフレームを通して、愉快で素敵な本の世界へと誘ってくれるのでしょう。(eMi.S)
住所/栃木県芳賀郡益子町益子1665
TEL/0285-77-5370
営業時間/11:00~17:00
定休日/水・木 (仕入れやイベント出店のため、不定期のお休みがあります)
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(登録第5290824号)