ゆたり倶楽部

[アンティーク] 記事数：6

◎アンティーク

仁平古家具店
[栃木県真岡市]

古家具と細路地に魅せられた店主が見守る
再生していくものたちの「これから」

　「古いものってどこか心和むんですよね」そう笑みを浮かべ店内の古家具に優しい眼差しをおくる、仁平透さん。真岡市の中心部、大通りから住宅街へと続いていく細路地に仁平さんが店主を務める「仁平古家具店」があります。

　昔は飲み屋街として賑わいをみせた細路地。時がたった今では空き店舗も多くなり、すこし寂しげな雰囲気になってしまいました。しかし仁平さんは、この懐かしい面影を残す情緒ある細路地にひかれ、通り沿いにあった古い一軒家を改装、2009年4月に「仁平古家具店」をオープンさせます。
　家の間取りをいかした奥行きある店内は、白壁や吹き抜けの天窓によって、古家具や雑貨たちにやわらかなぬくもりと心地いい空間をあたえてくれます。

　また錆がかった鉄製品や、少しひびのはいった食器…長い年月を旅してきたその品々がもつ独特の深い味わいも、訪れた人を穏やかな気持ちへと導いてくれます。そして仁平さんご自身も、使えなくなった古材の天板に、美しい装飾が施されたミシン台の脚や鉄を溶接して、オリジナルの机や家具を製作。たくさんの人が自分にあったスタイルで、古いものでも末永く大切に使ってほしいという想いを込め、日々古家具の再生に励んでいます。
　月に数回は県外の骨董市にも出店する仁平さん。そこで出逢った方々が仁平さんのお店目当てに、時間をかけてご来店されることも多いそうです。「やっぱりここに来てよかった、そう思ってもらえるような古家具店でありたいです」
　古家具を通じて生まれる人と人のつながりは暖かな灯火となって、これからの可能性に満ちているこの細路地を、明るく照らしてくれるに違いないでしょう。（m.m.）