初秋の風物詩、蕎麦が白い花を咲かせる山あいの静かな農村。
金色の稲穂がたわわに実る傍らの鉄骨ハウス(硬質ビニール系)で青々とした小葱がすくすくと育っています。
ハウスの中には不思議なことに土がありません。酸素と養分を含ませた水をウレタン培地の下に流し、ハウスを巡らせた水槽に循環させて作物を育てているのです。
緑の剣山のような小葱達は苗を植えてから約2ヶ月で収穫され、袋に詰められて市場に出荷されていきます。
「水耕栽培」は土を使わない栽培方法で、起源は古代バビロニアの空中庭園と呼ばれていたものにその原型を見る事が出来ます。我が国では、弥生時代に稲の水耕栽培が行われたといわれていますが、今では野菜や果物、花など多くの作物が水耕栽培で育てられています。
今回取材させていただいた栗原農園さんでは約1800坪のハウスで小葱をはじめ、みつばや青梗菜、ハーブ野菜など育て、年間70トン余を出荷しています。
代表の栗原昌則さんは平成5年に脱サラ、もともと実家は代々の米農家でしたが、利幅が小さい米ではなく、年間を通じて安定して出荷でき、利幅も見込める水耕栽培による小葱作りをスタートしました。
「自分の土地で勝負できるものをやってみたかったんだよね、でも不安はありましたよ」と栗原さん。
努力の甲斐あって規模を徐々に拡張、現在はご夫婦と息子さんのほかに収穫や袋詰めをするパートさんが15名の〝農業法人〟になるまで成長しました。
クレソンやルッコラなどハーブ野菜の良い香りに包まれながら、出荷の準備をしているのは、みなさんご近所にお住まいだというパートさん達。自ら収穫した野菜は家庭の食卓に並べ、味を確かめ、農園の野菜を使った料理の研究にも余念がないという熱心さです。地域の料理教室や野菜市などのイベントにも栗原さんの奥様と一緒に積極的に参加しているそうです。
栗原農園では減農薬栽培にも積極的に取り組み、農薬を最小限におさえ無理な栽培はしません。もともと生育期間が短いため病原菌の侵入率が低い小葱やサラダ野菜ですが、栽培管理をしっかり行い、より病気に強い抵抗力のある野菜作りを心がけているそうです。また水耕栽培は水を大量に使うイメージがありますが、タンクとハウス内の水はろ過させながら循環させているため、水道代は月に4~5万円ですむというから驚きです。さんさんと太陽の差し込むハウス内は年間8~10度に保たれ、暖房を使うのは厳冬の期間だけ。「結構、エコでしょう!」と栗原さん。
配達は市場に出るもの以外は農園より10Km圏内に留めています。希望者は直接農園に足を運んでもらい、生産現場を見て、野菜を味わってもらってから取引をしています。「何事も関係づくりが大切。インターネットや電話の問い合わせで済ませるのではなく、(農園を)直接見に来てほしい」―愛情込めて野菜を育ててきた栗原さんならではのこだわりです。
今後は若い人達が農業に抵抗なく取り組める環境づくりをサポートしていきたいそう。農業というビジネスの新しい形を追求していきたいと熱心に話してくれました。
栗原農園の野菜やお米が買えるお店:
かわねやフェスタ店→地図
かわねや大宮店→地図
かわねや南高野店→地図
かわねや菅谷店→地図
かわねや木崎店→地図
水戸パワーマート見川店→地図
水戸パワーマート住吉店→地図
東京 野菜ソムリエの店Ef 用賀店・雪谷店・ナチュラルローソン http://www.efagri.co.jp/
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