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[木を植える音楽] 記事数:12

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第11話 「Green tree and blue bird song」マツシマヒデキさん

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 緑の森と青い鳥、そして海。潮の香りと繰り返される柔らかな波の音につつまれ、心に灯る一つの言葉。それは私たちの「これから」に向けての「あたらしい」言葉。
 「大丈夫、うまくいくさ」あの人がそう言うのなら信じられるし、ついていける。たとえ光を見失ったとしても、進むべき道を迷ったとしても私たちは平気でいられるだろう。
 マツシマヒデキさんがそう言うなら、大丈夫。
 きっとすべてがうまくいくはずだから。

 包容力のあるボーカルと、小気味良いサウンドが印象的なマツシマヒデキさんの「Green tree and blue bird song」。GS(グループ・サウンズ)世代で音楽好きな父親の影響で、幼少期はおもちゃ代わりにギターと戯れ、自宅の「音楽室」ではレコード観賞にいそしむ日々を送っていたというマツシマさん。ボサノヴァやアメリカンルーツミュージックなど幅広いジャンルを軸とし、数々のバンドやユニットに在籍したのち、2006年ソロ名義での活動をスタート。現在もガットギターを相棒に、自主レーベルからのアルバムリリースやライブ企画を行っています。
 「震災の時はすでに栃木で暮らしていましたが、僕の出身は盛岡市。地元の家族や友人からの話を聞くと、内地とはいえライフラインが復旧するまでの間は、本当に大変だったようです。僕自身も半年ぐらいは自分の家族を守り、毎日を暮らすことに精一杯で正直、音楽のことを考える余裕すらありませんでした。そうしてなんとなく落ち着いた頃ですね、ちょうど倉本くんからこのプロジェクトの話を受けたのは」

 自分が生まれ育った街にまで、多大な被害をもたらした大災害。何かできればという思いを持ちながらも出来ずにいた、そのジレンマを解消してくれたのが「木を植える音楽」への誘いだったと、マツシマさんは当時をそう振り返ります。
 「倉本くんは僕のひと回り以上年下だけど、そういったことにとらわれることもなく、ただ純粋に一人の人間として信頼を寄せることができ、心からリスペクトしている人。震災の復興支援において今までにない新たな道筋をどうにかつくっていこうと奮闘している、そんな彼の真っすぐなアクションに、僕の拙い音楽が少しでも力を貸せられるならばと賛同したんです」
 曲のイメージはすぐに湧いたものの、実際にレコーディングに取り掛かるまでさらに半年を要した「Green tree and blue bird song」。ソロでありながらバンドサウンド的な要素をもつこの曲は、キーボードにプロデューサーの小川倫生さん、ドラムにスタジオ提供の協力者である「studio baco」の小林良輝さん、そして楽し気なハンドクラップはマツシマさんとお子さん、小林さんの3人が担当。普段は小編成スタイルで活動するマツシマさんには珍しい、バンド編成でようやく完成に至ったそうです。スタジオ経営の傍ら自らもドラマーとして活動をする小林さんが、バックミュージシャンの一員として、「木を植える音楽」の演奏に参加できたこともよかったねとお互いに話したとか。
 「自分がソロとして10年以上こうして音楽活動を続けてこられたのも、リスナーの皆さんだけでなく、『人』との繋がりの強い倉本くんや小川さん、ミュージシャンを常日頃からサポートしてくれる小林さんみたいな人が支えてくれているからなんだろうなって今回、改めてそう思いました。CD完成後もキャラバンとしての活動の場の広がりや、ミュージシャン同士の交流が深まっていけることも、そういった陰で支えてくれている人たちのおかげなんでしょうね」

 1,000枚完売することも大切だけど、植林されたクロマツの木々が大きく育っていくまでしっかりと見守っていきたいというマツシマさん。木を植える音楽家として、そして故郷といわきのこれからを思い支えてゆく者としての気持ちが生んだこの曲には、マツシマさんのまだ見ぬ未来への確信も込められているように聴こえます。「私たちが信じる気持ちをもち続ける限り、きっとすべてはうまくいくよ」と。(三上 美保子)



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