彼らの心の奥底にある、その揺るぎない「覚悟」は、一体どこからやってくるのだろう。
聴けば聴くほどに、ノスタルジックな世界に迷い込んでしまう「つむぎ」。それは、何かを懐かしむというより、これからの私たちの行く末をすでに諭し、潔い心で見据えているようにも感じられる不思議な1曲。
3人の導かれし者たち「マンマリカ」が奏でる、私たちの未来を紡ぐ音楽となりました。
マンドリン、コンソルティーナ、フルート、ギターなど数々の楽器を演ずるメインボーカルのメミさん、ベース担当のヤマさん、ドラム、パーカッション担当のヤスさんがメンバーの「マンマリカ」。2008年に結成し、カフェやマルシェなどでライブ活動を展開してきました。「ハレの舞台であるステージに立つからには、ハレの衣装である着物を」と、和服を粋に着こなし、演者として見事に観客を魅せる3人。飄々(ひょうひょう)としていながら、どこか筋の通った彼らの音楽は、何気ない日常における様々な生命の営みを、独自の視点で表現しています。
時に、楽曲のモチーフとなる猫や雨男、もののけ…。なんとも独創性豊かな彼らの音楽を作り出す基盤となっているのが、メミさんとヤマさんの里山での生活です。2人が暮らす栃木県鹿沼市粟野は、山々に囲まれた自然豊かな地域。山の麓の古民家で、山羊を飼い田畑を耕すなど自然と共存しながら、土間のスタジオで音楽制作に取り組む日々を送っています。
「ここでの暮らしから、たくさん気づきを得ることができました。結局、人間というものは、自然のリズムにあらがえないということも」
自然の恩恵あってこその生命(いのち)。しかし、いつの間にか人間はそのことを忘れ、目先の利益ばかりを考えることになってしまったようにも思えます。想定外な出来事が後を絶たない殺伐としたこの社会は、私たち人間が自らの手で作り出したと言っても、もしかしたら過言ではないかもしれません。
「今を生きること自体、未来への責任そのものではないでしょうか。だから、未来に向けて私たちができるのは、自分たちが少しでも『いい』と思える選択をしていくだけしかできないんです。それがどんなに小さなことでも、やり続けなければならないと思っています」
遥か遠い未来へ想いを寄せながら、自然のリズムを受け入れ、自分たちの選んだ道を歩み続ける「マンマリカ」。今を生きる私たちに課せられた使命を全うしようとする強い意志、その想いこそ彼らにとって唯一無二の「覚悟」なのかもしれません。
自然と寄り添う暮らしから「2tree cafe」との出逢い。そして「木を植える音楽」と、「木」がもたらす偶然とは言い難い「マンマリカ」を取り巻く、様々なつながり。それはまるで目に見えない何かの力が彼らを導いた、これからを紡ぐためのかけがえのない仕合せ―。
「残念ながら今の世の中は、先のことを考えない文化になりつつあると私たちは感じています。自然のもつ力に背くことなく、先人たちが残してくれた想いや功績を引き継ぎ、そして次世代に受け継がれるように、私たちは私たちなりのやり方で未来に紡いでいきたいですね」
果てしないどこかへ届くように、脈々と紡がれる彼らの音楽。それはきっと未来につながる一筋の光となり、私たちの足元を明るく照らしてくれるものとなるでしょう。
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