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泉’ベーカリー加守田さんの
ライフスタイルとこだわり
益子の町を車で走らせながらパンの移動販売をしている、泉’ベーカリーの加守田さん。ご自身の妊娠をきっかけにパン好きになったのですが、市販のパンを食べ続ける毎日に体が違和感を感じるようになり、自宅のホームベーカリーでパンを作るようになったそうです。そしてどうせならもっとちゃんと自分でやりたいと手に取った本が天然酵母のパン作りの本で、それ以来、自宅で培養していたヨーグルトで酵母を起こし、自家製酵母のパンを焼くようになったとのこと。その趣味のパン作りが高じ、この町で開かれる「青空市」という「子供たちに安全な食べ物と、からだにやさしい暮らしを」のスローガンの下に集まったお母さんたち主催の市での出店をはじめ、その後工房を作り本格的にパン屋さんとしてスタートしたのでした。
益子には昔から食に対する意識の高い人々が多く、加守田さんのおうちのお姑さんもそうであり、お肉や卵は知り合いの人から譲ってもらったり、野菜は自分の家の畑から…というようにしていたので加守田さんもそれがここでの当たり前のやり方なのだと、自然とそういった食への意識を持つようになったそうです。そのような地産地消、安全な食のこだわりはそのままパン作りに生かされていて、春夏秋はヨーグルト、冬は酒粕で起こした自家製酵母で、県内もしくは益子町の小麦粉を使うようにしています。「北海道の小麦粉の方がパンに適しているみたいだけど、できれば地元のものを使いたい」という加守田さん。素材の安全であることはもちろん、フードマイレージなどのことも考えて、できるだけ身近にあるものを使っていきたいという考えを持っています。
そんな安心素材の泉'ベーカリーのパンは噛み応えがあり、どっしりみっしりとしていて酵母の風味と素材の味がじっくりと味わえるもの。移動販売の立ち寄り場所のひとつ、小さなお子様を持つお母さんたちが集まる「ママカフェ」でも好評で、お母さんたちや子供たちとの楽しいやり取りの間に泉’ベーカリーのパンがあり、そのパンたちは食べるだけでなくここに集まる人たちを結んでいくかのよう。「食べ物ってもちろん美味しいことも大事だけど、『あの人が作ったものだから安心して買える』と人と人との繋がりも大きいと思うんです」。
そう語る加守田さんは、今こうやっていろんな人と話しながら販売している時間もとても充実しているとのこと。移動販売以外にもイベントには積極的に参加している泉’ベーカリーは、ますます新しい出会いをパンと楽しい会話で繋げていきます。(寒河江絵美)
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