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[地方に暮らす。[益子編]] 記事数:10

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|第四話|温めてきた夢を形にした 小さなパン屋さんの物語 その1

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昔食べたコッペパンを想いながら
~えみぱんができるまで



 ペンション&カフェ「益古時計」内にある木造のかわいらしくて小さなパン工房、それが「えみぱん」です。オーナーお手製というパンの形の取っ手を手にして、扉を開くとそこは女の子にはたまらない、かわいい雰囲気とパンのいい香りでいっぱい。そこで、まず目を引くのがショーケースの一番上の段にある、ころんとしたコッペパンといくつかのスプレッド。そしてそこには「好きなの塗ります」と書かれています。
 「昔、近所にあった駄菓子屋さんはおじいちゃんがコッペパンを焼いていて、いろいろあるクリームやジャムを塗ってくれるんです。それが美味しくて…思い出の味なんです。」と語るのは佐々木絵美さん。
 佐々木さんは益子生まれの益子育ち。もともと幼稚園の先生をしていたのですが、パン教室に通い始めたのをきっかけにパン作りの面白さに夢中になり、昔食べたあのコッペパンを思い出して、『いつかパン屋さんができたら…』という夢を持ち始めました。その後、ペンション&カフェの益古時計で働くことになり、スイーツや料理を担当、やがてパンを焼いてお店で出すようになりました。ペンションの朝ごはんやカフェのランチなどで出すパンはお客さんからは大好評。同じようにパン屋を開きたいという夢を持っていたオーナーさんと話が合い、その敷地内にパン工房を建てようという方向に動いていったのです。


 木工をやっていたという益古時計のオーナーさんが大工さんとともに手がけたそのパン工房は木のぬくもりが感じられるこじんまりとしたかわいい外観。オーナーさんはあの「魔女の宅急便」に出てくるパン屋さんのイメージを持ち続けてこのパン工房を作ったそうです。
 パン工房がオープンしたらあのコッペパンを出そう、佐々木さんの小さい頃の思い出とずっと温めてきた夢が叶えられることになりました。看板商品のコッペパンは工房の中でも目を引く古いガスオーブンで焼かれています。工房ができる前、縁あって手に入れた中古のガスオーブンはカフェのキッチン内でパンを焼いていたときから使用していたもので、今ではコッペパンはこれでしか焼きたくないということです。
 オープンしてからは、場所柄観光客も多いのですが、地元のご家族の知り合いなどもよく足を運んでくれたそうで、生まれ育ったこの町でパン屋さんになれたことの喜びを感じながらますます美味しいパン作りに励んでいった佐々木さん。小さな工房の中でひとりコツコツとパンを焼き続け、その後その工房は増築され作業場は少し広くなり、スタッフも加わりました。強いこだわりはそれほどないけれども、ここを訪ねるたくさんの人に美味しいパンとほんわりと温かい幸せを与えてくれる、そのために佐々木さんは日々パンを焼いているようです。(寒河江絵美)
>第五話へつづく


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