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[地方に暮らす。[益子編]] 記事数:10

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|第六話|温めてきた夢を形にした 小さなパン屋さんの物語 その3

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小さなパン屋さんの
地元との繋がり



 田舎の町で小さなパン屋さんをコツコツと続けていくということは、やはりお客さんをはじめ、周りの人たちとのかかわりが大事になってきます。夢を形にしたこの二つのパン屋さんはどのような道を歩んでいったでしょうか。
 どちらもそれぞれのスタイルを持ったパン屋さんであり、それぞれの形で人気が定着していきましたが、どちらのお店もお客さんの割合は観光客の人と地元の人が半々くらいだということ。益子が観光地ということもあって、わざわざ遠くからネットの情報を頼りに、または雑誌などでの紹介を見て訪ねてきてくれる人、その人たちの情報からまた新しいお客さんが増えていくという形で人気のパン屋さんへと成長していったようです。
 そしてもちろん観光客だけでなく地元のお客さんも。田舎の小さな町だけれど、陶芸をはじめとするモノ作りのために他県から移住してきた人たちなどが集まる場所柄のためか、「いろんな人が集まっている町だから新しいことをやって興味を持ってくれる人が多いのかも」とパンドムシャムシャの高橋さんは言います。初めは珍しいからと訪ねてきた人たちがやがて常連さんになってくれるという。田舎町の片隅でも続けてこられたというのはそんなモノづくり精神が息づき、新しいこと面白いこと好きの人たちがいる益子の土地柄のためかもしれません。
 そして食材への強いこだわりというよりも「町のパン屋さん」的なスタンスで、とにかく美味しくパンを食べてもらえれば、という想いがあるのもこの二つのパン屋さんに共通しています。そういう素直な作り手の姿勢がパンやお店の雰囲気に出ているからこそ「またあそこのパン買いに行こう」「あのお店のパンが食べたい」そんな気持ちにさせてくれるのでしょう。

 ムシャムシャ・えみぱんともに10月から益古時計で始まった益子土曜市という益子のパン屋さんや農家さんが集まるマーケットに出店しています。「地元の人たちに来てほしい」という主催者の方の目的の元スタートしたマーケットは早速初回から大盛況。「こういうイベントを通じて出店者同士の繋がりが深まって励みになります」というのはえみぱんの佐々木さん。
 益子に起こったまた一つの新しい動きが次の何かを生み出していくかもしれません。(寒河江絵美)


温めてきた夢を形にした 小さなパン屋さんの物語・完
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