水戸駅から車で15分、国道50号沿いにひと際センスのよく佇む建物があります。ここがK5アートデザインオフィスの活動拠点「PUNTO」です。
K5アートデザインオフィスはグラフィクデザインを中心に活動しながら、水戸のまちなかの魅力を伝えるフリーペーパー「マピナビ」や、年に一度、県内外の作家が集まるクラフト市「あおぞらクラフトいち」、音楽イベント「サウンドポスト」など、多彩な活動を行うデザイン事務所です。そんなK5を率いる甲高美徳さんが、2012年8月、事務所の一階を改装しオープンしたのが「PUNTO」です。クラフトアイテムの展示、販売、企画展などを行う場として、新たなカタチを提唱しています。
PUNTOに入ると、デザイナーの視点でセレクトされた、センスの良いアイテムが美しくディスプレイされています。「かわいい…」と思わず手に取りたくなる作品。そして、ただセンスが良いだけでなく、使っていくうちに自分の生活に馴染みや潤いをあたえてくれそうな陶器、小物や雑貨が沢山並んでいます。音楽も甲高さんのセレクト。試聴コーナーもあります。
そんな、温かいPUNTOの空間の中で、甲高さん、奥様の純子さんにお会いしました。
甲高美徳さんは福島県生まれ。大学時代、茨城にやって来ました。水戸市内の広告宣伝会社に勤務したあと、2002年より独立し本格的に活動を始めました。2004年に「マピナビ」を創刊。2009年からは水戸市内で「あおぞらクラフトいち」を開催。様々な媒体やイベントを通して、暮らしの中にデザインを取り込んでいく活動をしています。
「今、行っている様々な活動は、実は『マピナビ』がその核になっている」と甲高さんは言います。「当時、水戸のまちをきめ細かに紹介するタウン誌は見当たらず、『芸術館は有名だけど、それ以外にどんな場所があるの?』そんな声も少なくありませんでした。『良い場所があることを何とかして伝えたい』」という思いから編集を始めたと言います。「人が集う場所をつくりたい」。今の活動に通じる甲高さんの想いが宿った最初の活動でした。
甲高さんが、これからの計画を見ながら、「とにかく楽しいことをしていきたいですね。僕にとって楽しいというのは、同じ価値観を持つ人とのネットワークを作ったり、クリエイティブな人が集まり、気持ちや志を高め合う場所を共有することです。常にそんな場所を作りたいですね」と話してくださいました。
いろんな価値観を提示しながら、お客様が作家さんと出会う機会になったり、自分の生活を考えるきっかけを作ったり…デザイナーと言っても、何か形を作りデザインするだけでなく「考え方、つながり方をデザインする」それが甲高さん流のデザインの在り方なのかもしれません。
そんな活動を集約した『PUNTO』では、スタッフが選び抜いた工芸品が並び、甲高さんがセレクトした音楽が流れています。そして、ただ物販をする「お店」ではなく「人」が集えるように企画展、映画会、ライブ、トークイベントなど様々な文化拠点に幅広く活用しています。
最後に「デザインとアートのチカラで物の価値をつなげていく、人が集える、交差できる場所を目指したいですよね。」と、これからのPUNTOについての想いを語ってくれました。
PUNTOはまさに、心と体、全体でその価値観を感じる場所。見て、触れて、聞いて、感じて…時には五感を刺激する体験をしてみてはいかがでしょうか。(K.KOYAMA)
PUNTO http://punto-spazio.com/
K5アートデザインオフィス http://www.k5artworkshop.com/
「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)