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庭は一番身近な自然。地域の植生に沿ったスタイルは自然環境に優しい

ニハソノ
[茨城県つくば市]

Yutarist
守生耕(もりおつとむ)さん

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 生物多様性に富む、自然な庭づくりを提案する「ニハソノ」代表の守生耕(もりおつとむ)さん。1級ビオトーブ計画管理士の資格を有する、自然と伝統が共存した美しいまちづくりを実践する技術者です。つくばの雑木林が減少することへの危機感を抱き、つくばらしい平地の自然を守りたいと、2011年2月に起業。つくばの自然科学系の研究機関に20年間勤めた経験と知識をいかした事業を展開しています。

 「庭は一番身近な自然。つくばらしい街の魅力を保ちながら、それぞれの家の庭づくりから考えなければならない」
 守生さんが大切にしていることのひとつは、地域の植生に沿った庭のスタイル。
 「自分の住んでいる地域にはどんな樹種が育っているかを考えます。たいていの方は、自分の好きな木、家のデザインに合った木、今流行っている木などを植えようとすると思います。暖かい気候の土地に生える木を寒い地域に植えたり、その逆だったり。もちろん植えられたこの土地で育つのですが、それは自然の植生を無視することで、自然環境のバランスを崩してしまいます。例えば、つくばの地域を考えると、シラカシ、スダジイ、コナラ、アカマツなどを提案します。それらの樹種を中心に自分の庭に植えることができるなら、自然の生態系に沿ったもので、自然に優しい、人に優しいことになるのではないでしょうか。雑草は外来種以外、きれいに除草しなくてもいいですよと話すと驚かれる方が多いのですが、多くの種類の地元の草を生やしたお庭からは混然とした気持ちよさを感じるかもしれません。実はそこに植物なりの秩序と生き物なりのルールと苦労を見ることが出来ると思います」
 守生さんは、その地域の雑木林の植生をお手本とした極めて自然な庭を提案しているのです。自然な庭からは、自然な恵みもたくさん見出すことが出来ます。
「キイチゴ、ウグイスカグラ、グミ、サルナシ、アケビ、クワの実、クリやシイの実などは野趣の濃いポピュラーな庭の恵みです。食べることができる野草もたくさんあります。また、そこにはさまざまな生物が生息しています。庭での生き物調査は親子で楽しめる、ちょっと知的な遊び。図書館から借りてきた図鑑の絵合わせだけでも、子どもたちと一緒に名前を調べるだけで、通り過ぎていく鳥や虫たちが身近に感じられます。毛虫に毒を持つものが少ないことも知ることでしょう。自分の庭でワクワク感を経験でき、子どもたちに自然に対する愛情を育む機会になるのです」

 「庭の使い方を教えて欲しい」とお客様から尋ねられるという守生さん。
「自然の植物、生き物に触れるとっても身近な場所でもあり、どうにでもなる外の空間です。そんな質問を発する人は、室内の部屋も厳格に用途をスポイルしている気がします。庭の機能は、住む人の生活次第。そもそも機能的である意味もないのです。室内でできないことを外でするだけのこと。楽しめるかどうかは、住人次第ということもあります。自分や家族のライフスタイルを考え、自分の庭の楽しみ方を広げることで、自然に触れ、そこから自然を大切にする気持ちが生まれると思うからです」
 守生さんは、ラジオ番組@townつくばのパーソナリティーも務め、つくばの町や元気な人を紹介しています。さまざまな出会い、繋がりを通して、自然の大切さを伝えていければと考えています。「10年後、20年後、つくばの生き物が今以上に豊富になってくれればうれしい。それぞれの庭が地域の自然と一体化すること」を心から願う守生さんです。(K.K)

ホームページ http://nihasono.co.jp/

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