心で感じたことを表現し、みんなで創り上げる一体感が次へのエネルギー

ゆたりストに学ぼう

[ゆたりストに学ぼう] 記事数：52

心で感じたことを表現し、
みんなで創り上げる一体感が
次へのエネルギー

NPO法人　劇団クリエ
[茨城県ひたちなか市市毛451−4]

Yutarist
大滝順二さん・梅原美穂さん

　ストーリー、音楽、ダンス…すべてをオリジナルで上演する「劇団クリエ」。ミュージカルを目指す仲間が集まり1992年に茨城県ひたちなか市で結成されました。これまで11本のオリジナルのミュージカルを制作し、公演は１７回を数えます。2006年からはNPO法人劇団クリエとして新たなスタートラインに立ち、活動の場を広げ、クオリティの高い舞台は多くの人に感動を与えています。その指導の中心を務めるのが、演出家の大滝順二さんと、振り付けを担当する妻の梅原美穂さん。

　子供の頃から自分を表現したいという思いが人一倍強かった大滝さん。小学校の学芸会で初めて舞台に立ち、人前で演じる面白さを味わいました。その後様々な勉強を重ね、クリエ劇団には第４回公演から参加しています。水戸芸術館ACM劇場「怒涛」「ラ・クカラーチャ」「ジュリアスシーザー」、南町劇場「ここだけの話」などでも好演。それらの公演に参加する傍ら多くの演劇ワークショップで学ぶと共に、ロンドン、ニューヨークなど海外遊学で舞台芸術のセンスを磨いてきました。役者頭の実績を買われ、2004年「ヘンゼルとグレーテル」で初演出。以後、演出家としても本格的な活動を続けています。
　梅原さんは幼少の頃からクラシックバレエ、ジャズダンスを学び、高校卒業後はダンス留学のためニューヨークへ。劇団四季「AIDA」「南十字星」にオリジナルキャストで出演したり、ディズニーの仕事に携わったりと、幅広いジャンルをこなし、国内ではトップクラスのダンサーとして高い評価を得ています。

　先にも触れたように、この劇団の魅力はすべてがオリジナル作品という点です。クリエのスタッフが、全くの白紙の状態から創り上げるのです。その過程は、まるで建築現場のよう。「まず、脚本家が真っ白な紙に、デザイン画を描く。演出家、作曲家、振付師は、それを設計図にしていく。オーディションで役者が揃うと、現場での建設が始まる。それをじっと見守り、優しく、根気強く導いてくれるクリエイティブスタッフ陣。一緒に悩み、励ましてくれる仲間達。様々なことを乗り越えて、一つの作品を創り上げたときの喜び。その喜びが、次の舞台に向かうエネルギーとなる。その喜ぶ顔見たさに、保護者達も裏方でサポートする。そして、一緒に作品を創る喜びを味わう」と。
　アマチュア劇団としてスタートしましたが、活動していく中で、プロも育ち、現在では小学生から大人まで、そしてプロも交えて活動するという珍しい劇団に成長。メンバーは70人ほどで、活動の中心は20代。大滝さんと梅原さんは、自分の心で感じたことを形にして「表現」することが大切ですと話します。「どんなに上手に演じられても、歌えても、踊れても、それだけでは表現ではないのです」。役者同士励まし合い、学び合い、刺激し合って、本番までの稽古時間を過ごします。その過程で子どもも大人も、ひとまわりもふたまわりも、大きく成長するのです。その成長を見ることこそが私たちの宝物であると。
　時には厳しく、そして優しく指導するお二人。その稽古に一生懸命励む劇団員たち。彼らの作品にかける思いは真剣そのものです。私たちに笑顔と感動、そして勇気を与えてくれる舞台には、どんな幕開けが待っているのでしょうか。（K.K.）