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「ひとが輝くまちの学校」はゆたり出版の「ゆたり文庫 地方に暮らす。シリーズ02 ひとが輝くまちの学校」に再編集し収録されています。書籍はネット通販、書店、販売協力店でお買い求めできます。詳しくは本とゆたりをご覧ください。


[地方に暮らす。[ジョウモウ大学編]] 記事数:11

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 活動をともにする仲間を求め歩き回った結果、素晴らしい出会いの連続であったと、橋爪さんは振り返ります。そのなかでも分岐点となったのが、グラフィックデザイナーとして活躍するマニアッカーズデザインの佐藤さんとの出会いでした。




校章に込められた想い

 高崎を拠点に活動している佐藤さんはシブヤ大学のことも知っていて、この群馬で同じような動きがあるのなら自分のスキルとネットワークを活かしたいと熱望していた方。ジョウモウ大学の企画をお伝えすると、こういう話を待っていたのだと言ってくれました。
 佐藤さんにはジョウモウ大学のアートディレクションを全部お願いしました。ジョウモウ大学にはまだロゴマークが無かったのでそれをお願いすると、その翌朝にはメールで「できました」って連絡が来ていて。正直、片手間で簡単に済ませてしまったのかなと思いましたよ(笑)。でも、添付ファイルを開いてみてクオリティの高さに驚きました。このロゴマークに僕の伝えたいことが全部表現されていましたから。
 上毛三山と利根川の流れで、群馬の誇りと特長をうまく表現し、それを二頭の馬が支えている構図。子どもからお年寄りまで幅広い年代の方々に親しみを感じてもらえるような、格好良すぎないところが気に入りました。ジョウモウ大学の持つ空気感を見事に表現した素晴らしいロゴマーク案で、これで行きましょうと即決でした。
 このロゴマークが出来てからの展開は速かったですね。ジョウモウ大学の伝えたいことをこのロゴマークが雰囲気で伝えてくれるので、興味を持って聞いてくれる人も増えて。これはもう、デザインの力ですよね。
 こういった話をするとジョウモウ大学にはデザインなどクリエイティブな能力を持っている人じゃないと関われないの?と聞かれることもありますが、学生やOL、建築家等、様々な職業を持つスタッフが活躍しています。このように個性溢れる幅広い人材が集まることで、振り幅の大きい魅力的な授業が生まれてくるのでしょう。ですから、興味がある人は全員ウェルカムなのです(笑)。




学びと楽しさから生まれる「恩送り」

 ジョウモウ大学は人が集まる場所を作っています。誰もが関われる学びを入り口とした共感のコミュニティを作り出すために、素直に楽しいと思える授業を複数の授業コーディネーターと呼ばれるスタッフが企画立案を行っています。
 今、ジョウモウ大学の入り口となっている「授業」は寄付金だけで成り立っていますが、これは本当に凄いことだと思うのです。誰かの寄付により無料で授業を受けることが出来るなんて、ジョウモウ大学は街の善意の集合体と言っても良いのかもしれません。
 「なぜジョウモウ大学の授業は無料なのですか?」と学生さんから質問を受けることがあります。こんなに楽しくてクオリティの高い授業を提供しているのだから、有料でも良いのではないか、なんて嬉しい言葉をかけてくれる方もいます。また、授業というサービスを受けた対価として自分も寄付をしたいと申し出てくれる方も多くなってきました。しかし、僕達はもっと先を見据えた寄付を募りたいのです。
 自分が受けた恩の対価として寄付するということは「恩返し」をするということ。それはそれで嬉しいことではあるけれど、出来れば受けた恩を社会に還元するために寄付をしてもらいたいと思っています。
 顔も知らない誰かの寄付によって自分が授業を受け経験したことを、今度は自分が顔も知らない誰かのために、同じような機会を作るために寄付したいと感じてもらうこと。こんな想いを僕達は「恩送り」という言葉で表現しています。
 こんなことを言うと勘違いされるのですが、僕は決してジョウモウ大学を通じて「社会を変えるぜ」という覚悟や使命みたいなものは背負っていません(笑)。楽しい場所があれば自然と人は集まります。この楽しいという価値観を増幅させるプラットホームであればいいと思っています。
 ジョウモウ大学のキャッチフレーズに「群馬を世界中に自慢したくなる街に。」というフレーズがありますが、これは他者へのメッセージではなく自分への問いかけですよね。まず自分がそういう気持ちになったらこの街はますます面白くなるし、そんな想いの人が増えて集まりだしたらと考えるとワクワクします。
 陽明学に良知という言葉がありますが、僕は皆がもっている良い部分を当たり前に発揮できる社会であってほしいですし、ジョウモウ大学がその一翼を担えればと考えています。(Eri Suwa)

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