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[地方に暮らす。[ジョウモウ大学編]] 記事数:11
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ジョウモウ大学の開校
群馬県があるのは日本列島のほぼ中央。三方をぐるりと山に囲まれ、半分以上を丘陵と山々で占めています。冬には雪を降らせた季節風が山を越えて『からっ風』として吹きおろし、特産物として有名なのはコンニャクやキャベツ。名湯・草津温泉のある県ということも忘れてはいけません。自然豊かな場所でありながら東京近郊とのアクセスも良い土地でもあります。
しかし、民間シンクタンクが発表した2012年の地域ブランド調査では悔しいことに前年の44位から大きくダウンし、群馬県は全国最下位という結果でした。
そんな群馬県に『ジョウモウ大学』が開校したのは2011年7月のことです。『ジョウモウ』とは群馬のかつての呼び名の『上毛』から名づけたもので、「群馬を世界中に自慢したくなる街に。」というキャッチコピーを掲げ、県内各地で多彩な授業を開催します。多くの市民大学と同じくジョウモウ大学には校舎がありません。授業をする場所は会社やお店、公共施設など。時には街へ繰り出して授業を行うこともあります。
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群馬を舞台に行うユニークな授業
大人になってからも趣味や学びを深めたいという人々に人気の市民大学は、東京のシブヤ大学を始め今では全国に広がりました。しかし、ジョウモウ大学は人口の多い都会ならではの大規模なプロジェクトとは違った、独自の目線で運営されています。
そして、それは授業も然り。今までの行われてきた授業は「街歩きで宝物を見つけよう」、「利き醤油と蔵元見学」、「山バッチの魅力と作り方」など。授業に参加した学生同士でグループを作り一緒に街歩きをすることもあれば、美味しいカレーの作り方を教わり皆で味わうこともある、枠にとらわれないユニークな授業が行われています。
この授業はいわゆるカルチャーセンターのようにお金を払い技術や知識を教えてもらう場所とも少し意味合いが違うのかもしれません。今まで参加した方は、10代から最年長は70代までと年齢も幅広く、地元の文化や工芸を紹介する授業へ若い人も積極的に集まり、日頃あまり会う事のない方同士が交流を深め合う機会にもなっています。
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人々が集う、その先には
2011年7月に開校して、現在運営に関わるスタッフは約30人。授業のコーディネートや会場の設営、受付など授業に関わる人。ホームページの制作や運営の基礎を役割としている人。それぞれが学校や仕事などの本業を持ちながら、ジョウモウ大学のスタッフとして活動をしています。
ジョウモウ大学とのぼりを立て活動する姿を見たとき、あるいは新聞やインターネットで見かけたとき、この団体はどういった活動をしているのかと、不思議に思う人もいることでしょう。
そしてそれは、職業も年齢も性別も違う人たちが集まりジョウモウ大学を構成していることやそれぞれが自主的に参加する姿を知ると、その疑問はさらに増すかもしれません。さらに、ホームページの授業の告知を見たとき、ほとんどの授業料が無料というから驚きです。
今回の『地方に暮らす。』では、ジョウモウ大学の授業や活動に密着して、学長の橋爪さんやスタッフの方々、授業を行う先生方、そして学生の皆様などのお話を伺い、ジョウモウ大学の内部に迫ります。
群馬県は東京から新幹線でわずか一時間程度。自然豊かで温泉も豊富。しかし、県内外問わず多くの人々がその魅力に気付けないでいます。そんなこの土地を舞台に、地域の人たちからジョウモウ大学が生まれたことは重要な意味を持っているのかもしれません。
さて、このジョウモウ大学を介して人々が集まると、その先にはどんな展開が待っているのでしょうかー。(Eri Suwa)
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[地方に暮らす。[ジョウモウ大学編]] 記事数:11
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