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【睦月】小正月をひっそりと愉しむ

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 1月はお正月という、1年で最もめでたいハレの日がある月。現代では「ハレ」と「ケ」の区別が余りありませんが、かつてのお正月は、質素なもので過ごす普段に比べたらそれはそれは贅沢なものだったのでしょう。だからこそお正月のご馳走の食べ過ぎと寒さから動かないことを防ぐため、1月は何かとからだのケアをしようとする行事食がありました。


 1月3日には三日トロロと言って、消化酵素の多い山芋のすりおろしをご飯にかけたとろろ飯を食べ、正月で食べすぎたお腹を軽くしようというもの。1月6日は納豆の年取りといってこの日に納豆を食べると「万病の根が抜けていく」と伝えられ、夕方に納豆をすりつぶして納豆汁を作り、家族全員でいただきます。そして1月7日の人日の節句には七草粥の日がありますね。このようにして昔の人たちはお正月を愉しんだ後に賢くからだをすっきりさせていたようです。

 七草粥の日は今でも広く慣わしが残っていますが、実はこの1月7日の節句は旧暦の暦をそのまま新暦に当てはめたものなので、春の七草はこの時期には揃わないもの。そもそも旧暦でのお正月は現在の1月下旬から2月中旬にかけてだったので、春の芽生えの頃。お正月に新春、初春というのもこれなら納得ですよね。お正月が終わる頃にはもう自然界では春の芽生えが始まっているので、かつては野や畑に出て採ってきたというものですが、今ではお店でパック詰めにされているものでないと揃えることはできないのです。なんとなくこれに抵抗がある私は七草粥はパスし、小正月に用意するという小豆粥をいただきます。

 小正月とは、1月1日の「大正月」に対して、1月15日は「小正月」といわれます。松が明け、暮れからお正月の間忙しく働いていた女性たちがやっとひと段落できる日という事で「女正月」とも言われます。この日は小豆粥を炊いて疲れた胃腸を休め、ほっと一息ついていたようです。そして各家ではこの小豆粥を神棚に供え、五穀豊穣と無病息災を願いました。現在では小正月の慣わしは消えつつあるようですが、お供えしていた鏡餅を下げていただく鏡開きや、正月飾りや古いお札(ふだ)などを燃やす「とんど焼き・左儀長(さぎちょう)」の風習も、小正月の行事の一環として行われていたものなので、まさにお正月を収めるといった感じのものですね。

 私は昔の女性ほど忙しくお正月を切り盛りしているわけではないので、なんとなく過ごす正月の間よりも、お正月の後始末して小豆粥をいただくという小正月の行事は少し気持ちが引き締まって快いもの。土鍋でコトコトと小豆粥を炊いているとどこか心が落ち着いて凛とした気持ちになってきます。仕事や学校が始まってお正月も終わりというのでは味気ないので、これもひとつの区切りとして「小正月」の習慣が残っていけばいいなあと思います。


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