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第一話〜第十九話はゆたり出版の「かさまのうつわ」に再編集し収録されています。「かさまのうつわ」はネット通販、書店、販売協力店でお買い求めできます。詳しくは本とゆたりをご覧ください。


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第二回 CRAFT BORO×BOROさん

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笠間の芸術の森にほどちかいアトリエで作陶しているBORO×BOROさんは、横田篤徳さん・小坂裕美さんご夫妻のユニット名。

 見ていると楽しい気持ちが湧き上がってくるBORO×BOROさんの器。白化粧をベースとして、それに加飾していくスタイルの作品です。それにしてもなぜ、ユニット名が「ボロボロ」なんでしょう。

「使い込まれたもの、アンティークなモノがふたりとも好きなんです。でも、アンティークっていうほどかっこいいものじゃなく、ジャンクな感じで気軽に使ってもらえるものをつくりたくて、この名前にしました」と横田さん。

 小坂さんは、栄養士、家具やさん、そして特殊メイクアップの技術を学んだ後に 笠間の窯業指導所に入った異色の経歴の持ち主です。ご主人の横田さんとは、その窯業指導所で出会った同期。
 一方の横田さんは、陶器が好きで収集していたお父さまに影響を受け、もともと物づくりが好きということもあり陶芸の道に入りました。





 BORO×BOROさんの工房にお邪魔すると、隣どうしにろくろが二つ並んでいます。その後ろに、テーブルがひとつ。作陶スタイルは、分業ではなく、それぞれがそれぞれの作品を一から仕上げまでおこなうとのこと。
 「ゆみちゃん(小坂さん)の作ってるところを見ていると、あっそうやっちゃうんだ、とか、最初に作っていてこうなるんだろうなと予想していたものと全然違うものが出来上がってきてびっくりすることがけっこうあるんです」と横田さん。
 たとえばどんなところが?
 「カップをひいてるなーと思ったら、途中でそれを横真っ二つに切って、ああどうするんだろうと思うとまたくっつけて加飾してちゃんと完成させてしまう。そういうセンスは僕にはないですね」





 横田さんをびっくりさせる小坂さんの器。なにかに着想を得ての作陶なんですか?
 「外部的な刺激ではなく、こうやったらどうなるかな?と思いながら作っている感じですね。こうしなきゃいけない、というより、こうやってみようという気持ちが大きいです」。ベースになる技法や使っている道具は伝統的なものですが、アレンジは自由な小坂さんの器。ご自分のことになると、とたんに無口になるシャイな横田さんですが、誰よりも近くで見ている奥さんのことになると、まるで作業を横で見ている気分になるくらい生き生きとした描写なのです。

 小坂さんから見た横田さんは「先をよく見通して作陶していると感じます。段どりがきちんとしている。そして、ときどきアドバイスしてくれることに外れがないんです」。そして、作業自体は完全分業のお二人ですが「窯だけは彼に任せてるんです」と小坂さん。
BORO×BOROさんは全幅の信頼をよせあった作陶ユニットなのです。





 また、まだ小さい三人のお子さんのパパとママでもあるBORO×BOROさん。サイズもさまざまな洗濯物がぱたぱたとはためくお庭。子供たちの泣き声や笑い声、呼び声にときどき手を止めながら、にぎやかな生活の中での作陶は、おふたりの作品からにじみでる楽しさと無縁ではないはず。二人並んでろくろをひくご両親の背中をみて育つお子さん、どんな大人になるのか楽しみです。



café R hana





 BORO×BOROさんの器でランチが楽しめるのは、笠間市街にかわいいお店を構える café R hanaさん。落ち着いた雰囲気の店内では、食事やお茶と同時に焼き物作品を購入することもできます。明治時代の建物をリノベートした店内は、BORO×BOROさんの器の雰囲気と見事にマッチしています。
 店主の吉澤理絵さんが横田さん・小坂さんご夫妻と知り合ったのは、今年で5年目をむかえるカフェがオープンするずっと前のことだったそう。
 「はじめは友人として知り合って、そのあとお二人の作品を知りました。個性的で他にはない土の風合い、色味、そして形。どこをとっても飽きがこないんです。」
 R hanaさんのランチは、理絵さんのお父様の畑でとれた無農薬の野菜を使用しています。BORO×BOROさんの器で供される、眼にも楽しいランチプレート、定番のタイカレー、それに季節のデザート。お料理担当は、吉澤さんの弟さんで、イタリアンレストランで修業もなさっている春樹さんです。
 「レストランでは同じ色・大きさのプレートに同じように盛り付けていきますが、焼き物は一枚一枚全部表情が違う。それに応じて見せ方を考えながら盛り付けていくのが楽しいんです」。紫いろの大根やバジルや桃。渋い色あいの器に盛られた季節の食材は食欲をそそり、現に春樹さんのお料理はとてもおいしいと評判なのです。





 理絵さんがうれしいと思うことは、お客さんにおいしいと言ってもらえることと、器をほめられることだそう。「お二人の器を自分の店で紹介できることがとても嬉しいのです。ここのカレーを召し上がったお客様が、次にお見えになった時”今日は家でカレーを作ってから来たの。ここのお皿と同じカレー皿をください“と、BORO×BOROさんの器を求めに来てくださったこともあったんですよ」
 BORO×BOROさんと吉沢さんは、お互いのことを、異口同音に「信頼しています」とおっしゃいます。夫婦・姉弟・友人同士の信頼関係、そして料理と器の信頼関係。Café R hanaの店内では、信頼関係から生まれたお料理と器に出会えます。
(しばたあきこ)






DATA:

café R hana

茨城県笠間市笠間1180-1|Tel.090-4932-4382
営業時間|11:30~17:30(L.O.)
定休日|月・火(祝日はOPEN)

>ゆたり掲載記事はこちら http://www.yutari.jp/club/CafeRestaurant/cC100809.htm




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