「ジブンらしくツナガルくらし」はゆたり出版の「ゆたり文庫 地方に暮らす。シリーズ01 地方とわたしとつながる世界」に再編集し収録されています。書籍はネット通販、書店、販売協力店でお買い求めできます。詳しくは本とゆたりをご覧ください。
[地方に暮らす。[里美編]] 記事数:8
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今回インタビューさせていただいた方はそれぞれ自分の地域への想いというのを持たれています。年齢や性別、考え方やアクションの方法などは人によって違いますが、その人の暮らしの中に知恵や想いなど光り輝くものを見ることが出来ました。自分と地域の繋がりやそこに住む人びととの繋がりを感じながら生活出来ることが里美の魅力の一つです。今までもお世話になっていた方々でしたが、改めてじっくりお話を聞くことで新たな一面をうかがい知ることが出来ました。
移住直後は慣れないことも多かったですが、今となっては里美での暮らしが心地良いものになりました。
「普段は撮る側だから」と言ってはにかむ大森芳徳さん(36)は、私たち協力隊を含め、仲間内から「てっちゃん」の愛称で何かと頼りにされる、里美地区在住のデザイナーさんです。デザイン会社を個人で営み、3人の子どもたちの父親でもある大森さんは、私たち協力隊の事業にも沢山協力していただいています。人口3,500人程の里山で、里美地区で働く仕事人、父親。そして地域住民としての彼の生きざまを伺いました。
例えば里山が見せる四季折々の表情だとか、玄関にそっと置かれた野菜と、そこに添えられた地域の人の優しさだとか、そんな地域の生活で起こる一つ一つのことに心が弾む度に、里美地区での暮らしはなんてドラマチックなのだろうと、ふるふると胸が震えるような感覚を覚えることがあります。それは、これまでに経験したことのない種類の喜びであり、その感情との出会いは、これまでの自分の暮らしと日本の地方という場所がどれだけ乖離していたのかということに気づくきっかけともなりました。「地方で暮らす」という当たり前のようで当たり前でないドラマチックの欠片を、誰かと分かち合うことでさらにつながりの輪を広げていけたら。そんな小さな願いを織りなすような気持ちで、今回も里美地区での暮らしの情景を綴っていきたいと思います。
今回お話してくれたのは生粋の“里美人”鈴木敏一さん(63)です。第1話で紹介した岡崎さんがご自身のことを“水の人”と表現されていましたが、敏一さんはまさに“土の人”です。いつもニコニコ柔らかい笑顔で気さくな敏一さんですが、地域のために様々な活動をされており、そこには地域への強い愛情が感じられます。
まだ、里美地区が金木犀の香りに包まれていた秋のある夜。私は同地区の最北部に位置する里川町へと車を走らせていました。曲がりくねる細い山道の先を抜けてたどり着いた集落に浮かび上がる家々の灯り。そこから放たれる暮らしの温度に心が和らぐのを感じながらたどり着いた一軒の家。
「こんばんは、いらっしゃい」と温かく迎え入れてくれたのは里美地区で林業を営む佐藤健一さん(58)、幸子さん(58)ご夫婦です。キッチンから小さく流れる音楽と温かいカフェオレ。協力隊として地域を巡っていると、このように地域の方の家に上がらせてもらうことがよくあるのですが、その度に各家庭が醸し出す、地域での暮らしが滲み出るような雰囲気にほっこりしてしまいます。「暮らしの呼吸」というのでしょうか、人だけでなく家そのものが息をしているような、人々に寄り添い、暮らしを見つめてきた家のおしゃべりが聞こえてきそうな独特の空気。そんな空気に居心地の良さを感じながら、佐藤さんご夫妻の地域での暮らしについてお話を伺いました。
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