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[地方に暮らす。[前橋○○部]] 記事数:10

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第八話|まちのピンチに立ち向かった〇〇部のネットワークと行動力

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 好きなコト・モノを通し、人と人とのつながりを作ってきた前橋○○部。この単純な遊びのつながりが、まちのピンチに直面した時、生きたネットワークとして大きな力を発揮しました。前橋○○部の誕生から2年が経った2014年2月、前橋を襲った記録的な大雪での出来事です。




雪センの活動を支えた〇〇部のネットワーク


2月16日、一面の雪に覆われた前橋市総合福祉会館

 2014年2月14日深夜、前橋市社会福祉協議会に勤める髙山弘毅さん(まえばし×ふくしま部部長)は、しんしんと降り続く雪に不安を募らせていました。「降り方が尋常じゃないし、除雪車が出動している気配もない。朝には道が塞がってしまうのではないだろうか」
 髙山さんの不安は的中します。15日午前8時には、1896年からの観測史上最高の73㎝の積雪を記録。交通や物流は寸断し、経験したことのない大雪にまちは混乱に陥りました。雪かき道具の備えがなく、ちりとりやビールジョッキで必死に雪かきをする人の姿も見られました。
 辺り一面を埋めつくす雪に身動きがとれず、16日の夕方になってようやく職場である総合福祉会館にたどり着いた髙山さんは、急ピッチで災害ボランティアセンターの立ち上げ準備を始めます。名称は「前橋市大雪たすけあいセンター」(通称雪セン)。高齢者や障害者など雪かきや通院などに支援を必要とする世帯へのボランティアの紹介と、除雪用の道具の調達・貸し出しが主な目的です。


雪センのロゴは藤澤部長がデザイン

 17日、髙山さんがFacebookで準備状況を発信するとシェアは80件以上に。県内外の社協やNPO法人から支援の申し出が届く中、前橋○○部のメンバーからも「何か手伝えることはないか」と連絡が相次ぎました。
 先陣を切ったのは前橋〇〇部部長の藤澤陽さん。雪センのロゴマークを一晩でデザインしました。当初は災害時という状況を鑑みて、白地に黒の明朝体で名称を記したロゴをデザインした藤澤さんですが、奥さんの史子さんが「これでは助け合えない」と進言したそう。出来上がったのは、スコップを手に持った女の子と雪だるまが手をつないだ、柔らかなデザインです。
 キャッチコピーは「やさしさはつながる」。
 18日に立ち上がった雪センのFacebook、Twitter、公式サイトにはすべてこのロゴがあしらわれ、雪センの認知に大いに役立ちました。市民の中に『自分たちでなんとかしなきゃ』という想いがくすぶっているのを感じていたという髙山さん。「その想いを“見える化”したいと思っていた。このロゴのおかげで一気にムードが高まった」と振り返ります。
 ロゴを用いて雪センの横断幕やステッカーを制作したのは看板業を営む野村さん(前橋葡萄酒部)。牛乳販売店の富澤さん(前橋ちち部)は配達時に雪センのチラシを配布し、ニーズの掘り起こしに一役買いました。携帯電話会社に勤務する児島さん(前橋シティランナーもりあげ部)は携帯電話を、運送会社勤務の高橋さん(前橋トレラン部)は資材運搬に必要なトラックを調達。FM局に勤める竹内さん(パフェ部)、大畠さん(パズル部)が広報担当として情報発信を担いました。その瞬発力と行動力は前橋〇〇部ならではと言っていいでしょう。
 「さまざまな〇〇部のメンバーが得意分野を生かして行動してくれた。初めて職業を知ったメンバーもいたし、これまでコミュニケーションをとったことがなかった部活の方からも連絡をいただいた」と髙山さん。前橋〇〇部によって育まれてきたネットワークが、雪センの初動において大きな役割を果たしたのです。




FBを通して広がったたすけあいの輪


2月19日の前橋中心市街地。人ひとりが通るのがやっと

 髙山さんが雪センを「ボランティアセンター」ではなく「たすけあいセンター」と命名したのには、理由がありました。「雪センに来てくれるボランティアの数はもちろん多ければ嬉しい。でも、センターに来られなくても、それぞれの地域で助け合っている市民がたくさんいた。その人たちを地域から引き抜くのではなく、その場での『たすけあい』を応援したかった」
 その仕掛けの一つが、22、23日の2日間に渡って実施した「前橋いっせい雪かき大作戦」です。①雪センに集合し、ボランティアスタッフとして支援を必要とする家を訪問する、②自分の周りの気になる場所を雪かきし、その様子をFacebookで投稿する、という場所に縛られない2種類の参加方法を設け、全市民に参加を呼びかけました。キャンペーンバナーを貼った21日のFacebookへのリーチ数は3万3000件を超え、キャンペーン当日は市内各地で雪かきに取り組む写真が続々と投稿されました。

「まずは家の周りからかいています」
「子どもの通学路を雪かきしました」
「道がつながった!」
「腰は痛いが雪かき最高!」

 多くの市民が一体となって、大雪にポジティブに立ち向かいました。
 FBでの「発信」に「共感」した人が、自分なりの方法で「行動」する。これは前橋○○部のシステムそのものです。「○○部の活動がなかったら、この発想は思いつかなかった」と髙山さん。多くの前橋市民に「発信」→「共感」→「行動」のステップが浸透していることを、キャンペーンを通して実感したそうです。


雪センでは計3回のキャンペーンを実施し「たすけあい」の機運を高めた

 3月7日に役割を終えた雪センは、ボランティア708人が参加し450件のニーズを解決しました。「単純なボランティアの数でみれば決して多くはないが、市民同士のたすけあいの輪を広げることが出来たという点では大成功だった」と髙山さんは言います。
 「社協では日ごろから地域の課題の解決に向けてネットワークづくりを進めていますが、この雪害で、地縁団体やボランティア団体に交じって、前橋〇〇部が課題の解決に向けて一緒に取り組んでくれたことは新鮮だった」
 前橋〇〇部は新しい社会のつながり方の一つとして、その存在を示したのです。


たくさんの市民が参加した「前橋いっせい雪かき大作戦」


(文=林 道子)

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