直木賞受賞作品「プラナリア」以来、山本文緒さんの本が好きで読んでいる。
が、もう読み尽くしてしまいしばらく手に取ることもなかった。
しばらく執筆活動をしていなかった時期もあったと思う。
数年前、山本さんがうつ病であったことをテレビで知った。
書けなかった時期の辛さは小説家ではない私には計り知れない。
私は山本さんのちょっと意地悪っぽい登場人物が好きだ。
私には絶対にできないこと(というか、したくないこと)も小説として読む分には程よいストレス解消となる。
「日々是作文」はいろいろな本に掲載された山本さんのエッセイ集だ。
日々是作文、というより山本さんの離婚経験は小説のモチーフになっているところもあるらしい。
そもそも。
結婚ってなんだろう。
離婚するってどういうことなんだろう。
当たり前のように「結婚している人」の私であるけれど、結婚の対極に離婚があるなんて、今は全く考えられない。
離婚を必要としていないから、そんなことが言えるのかも知れない。
結婚する前は幸せの象徴のようにイメージしていたが、
結婚は、日常であるということが今はなんとなく理解できる。
日常、というととても平和で牧歌的な言い回しだけれど、
要は我慢比べである。
あるいは、どう自分に折り合いをつけていくか、どれだけ自分の時間を自分以外に割くことができるかということなんだと思う。
何のしがらみもなく、なんでも自分で自由に決めてつき進むのは、わりと普通。
けれど、親の介護や親戚とのお付き合いなど、いろいろな制約をクリアして、自分らしい人生を作りあげるというのは苦労した分、自分の人生を生きているなーと実感できる。
「私は一人ではない」というのは制約があるが、やっぱり幸せなことなのだ。
そんなことを感じさせてくれる一冊でした。
Trackback(0) Comments(0) by つき|2009-02-22 20:08
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