もし、自分の人生が「~せねばならない」ばかりだとしたら。
とても生きづらいと思います。
そうした強い圧力だけでなく、周りの環境や考え方の癖から、心の病気になってしまうこともあります。
「統合失調症」という病気。
何となく知っているという程度でした。今回「悩む力 べてるの家の人びと」を読んで、少し調べてみました。
生きることがつらくなる病気。
知れば知るほど心がしめつけられるようです、
もし、自分の大切な人がこの病気になってしまったら。
あるいは、自分が医者だったとして、自分の患者さんがこの病気だったら、
おそらく、「社会復帰できるよう手助けしたい、治してあげたい」と心の底から思うでしょう。
けれど、べてるの家の人びとはは違うのです。
そのままでいいよ、だれも排除しない。
しかも病気でも商売できるんだよ、と、まるで当たり前のようにやっているのです。
北海道の海辺の田舎町にある、共同住居、「べてるの家」
社会からドロップアウトした人。
生きづらさを抱えてやってきた人。
病気になって、人とのかかわりを持てなくなった人
来る人誰一人も排除することのないこの場所での生活、入居者の思いが等身大で描かれているのが、この本なのです。
今の日本は一度失敗をしてしまうと、なかなか敗者復活ができない仕組みだといえるでしょう。
自分のことで精いっぱいで、相手のことを陥れることはないけれど、結果的に自分の身を守ることに必死で周りが見えていないのです。
偉そうなことばかり言っていますが、自分のことに必死、という点では、私も周りが見えていない中の一人かも知れません。
「強くなければならない」
「人に認められなければならない」
「上手に生きなければならない」
必死になればなるほど、上手に生きることから遠のいてしまうという悲しさ。
読みながら、涙が出てきました。
べてるの人達は「特別な病人」ではないと、心から思えるのです。
社会の歪みの中で疲れ果て、べてるの家にたどりついた人達のインタビューを読んで感じたことがあります。
それは、
人とつながっていることがどれほどの心の支えになるか。
ということ。
世の中が、うまく立ち回れる人だけで動かしているとしても、「誰もを排除しない」ということ。
そういう意識の低さが、労働環境や経済の歪みを生んでいるような気がしてならないのです。
受け止め合うことの大切さを改めて感じています。
あなたはあなたのままでいいのよ、と常に発信しつづけることを私たちは忘れてはならないと思います。
「悩む力 べてるの家の人びと」
斉藤道雄・著 みすず書房
Trackback(0) Comments(5) by つき|2010-08-30 07:07
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