子供の頃、よそのうちのおかぁさんが作ってくれた
おにぎりに抵抗があった。
おにぎりにはぬくもりがこもっているから。
妙に変なところを気にする子供だったので、よく知りもしない人がにぎるおにぎりは、妙に緊張して手にして、躊躇しながら食べたものだ。
大人になった今、何を躊躇していたのかよく分からないけれど、私の中ではほかの料理よりも、ワザやセンスを要し、想いが強い食べものという位置づけは変わらないかもしれない。
青森にいらっしゃる佐藤初女さんがにぎるおにぎり。
ちょっと心が疲れてしまった人も、初女さんがにぎるおにぎりを食べると、なんだか元気になってしまうという。
映画『かもめ』食堂で小林聡美演じるサチエ。
サチエがおにぎりをにぎりながら、「おにぎりは日本人のソウルフードだ」と言っていた。
どちらも、私の中では妙にしっくりくる。それぐらい、おにぎりの存在が大きいんだろうと思う。
すべての料理において、ハハを超えられるものは未だ何もないと思う。
その中で、やはりぶっちぎり一位はおにぎり。
私がにぎると、不恰好なことはもちろん、なんだかおいしくない。
平日はほぼ毎日、おにぎりをにぎるけれど、エネルギーチャージのためのごはんといった位置づけで、ぬくもりがこめられるレベルではない気がする。
最近すきなのは、えごまの実、そして黒こしょうを入れたもの。黒こしょうと聞くと、一見すると合わない気がするけれど、意外といける。洋のメニューにもしっくりくる和洋折衷のおにぎりだ。
とある休日の朝。アイボウがおにぎりが食べたいと言う。
冷蔵庫にあった鮭フレークに、えごまの実を入れてにぎってみた。
「おいしい、おいしい」とぺろりと完食。
少しだけ、おにぎりに自信がもてた気がする。
» Tags:おにぎり,
Trackback(0) Comments(6) by 安島夏|2008-11-09 17:05
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