水戸市街を抜けて、岩間方面に車を走らせること30分。栗林があちこちに現れはじめたら栗の家はすぐそこだ。オーナーの小澤さんご夫妻は歯医者という専門職を引退してから、この地で土日のみの栗菓子喫茶を営んでいる。ご主人の実家を解体して移築された古民家は、米問屋だったというだけあって広い土間のある店構え。栗の形にくり抜かれた引き戸を開けると、そこには古くて可愛らしいテーブルと椅子、そして骨董品の数々が並べられている。「どうぞ、お好きなお席へ」と声が聞こえて、物腰のやわらかな奥さんが迎えてくれた。
客席は広く、バラエティに富んでいる。土間のテーブル席以外にも、囲炉裏のある部屋、庭を望める廊下の座椅子、客間であろう立派な座敷。高く抜かれた天井とそこを横切る立派な梁、きしきしとしなって脚になじむ床、店内の至る所で知るはずのないノスタルジアと出会える。どの席で懐かしい想いを巡らせるか決まったら、メニューは至ってシンプル。なんといっても栗の家だ、栗菓子を頼まなくては始まらない。ここで出される栗菓子は、オーナーが所有する栗林からとれた栗を使い、その日その日にていねいに奥さんが手作りしている。そのため季節によって販売していない菓子があったり、すぐに売り切れてしまうこともある。出会った時が最高のタイミング、モンブランと珈琲のセットを頂くことに。栗以外何も使っていないであろう濃い味と程よい甘さが、また懐かしさを運んできてくれる。
裏には石造りの蔵があって、骨董品や民芸品の展示をしている。月に一度は広い庭で骨董市が開かれ、各地から来るたくさんの人で賑わう。集まる人達の要望からここでお茶が飲めるようになり、栗菓子の美味しさから持ち帰りの品が生まれた。いまでは高速バスのバス停まで出来てしまうほど、ここにはコミュニケーションが溢れている。「人と人が交流する田舎のコミュニティーになれば良いんです。」とご主人は話す。小澤夫妻の人柄とそれを慕う人々があってこそ、ここは栗の家として時を刻み続けている。
*menu*
ブレンドコーヒー ¥650
紅茶 ¥600
モンブランとコーヒー(セット) ¥880
抹茶と羊かん(セット) ¥880
おしるこ(セット) ¥880
くり蒸し羊かん(おみやげ用) ¥1,575
栗の家(くりのいえ)
茨城県笠間市土師1285
0299-45-5124
営業時間 10:00〜17:00
定休日 月〜金曜日
客席数 45席
駐車場 10台
Trackback(0) Comments(0) by 吉川永里子|2007-10-17 13:01
「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)