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直島町の中心となる直島は、瀬戸内海に浮かぶ周囲16kmほどの小さな島。岡山市を本拠地とするベネッセコーポレーションがアート活動を始めたことで、島全体の文化性が高まり、現在では外国人観光客にも人気です。
『直島』という地名は、その昔、島民の純真な性格から崇徳上皇によって命名されたと伝えられるだけに、今でも島の日常からは島民の素朴な暮らしを垣間みることができます。瀬戸内海に漂う長閑な時間に創造的な現代アートが解け込みます。
直島でのインスタレーションは、瀬戸内の景観や歴史を重んじ、この場所のためだけに制作された作品ばかりだそうです。島内の集落を使った『家プロジェクト』もそのひとつ。建築家の安藤忠雄氏が設計した『南寺』は、人々の精神的な拠り所として歴史的・文化的な中心地。ジェームズ・タレル氏のインスタレーションを展示しています。この他「本村地区」には、古民家を利用した空間そのものを作品とした建物などが点在し、背筋をピンと伸ばしてくれる日本独特の美意識が妙に気持ちいい。観覧の際には、島民のボランティアの方がアーティストや作品について丁寧に紹介してくれます。アート作品に触れ、集落を歩いてるだけで気分が透き通ってくるのは、離島に流れる固有の時間と島民の素朴な人柄のせいかもしれません。
『ベネッセハウス』はベネッセアートサイト直島の中核施設。「自然・建物・アートの共生」をコンセプトに安藤忠雄氏が設計した宿泊施設を備えた美術館です。自然と調和した建築が美しい施設は建築作品としても見応えがありますが、ロビーやラウンジなど施設内の至る所でアート作品に出会えます。ベネッセハウスの周辺には、館内の作品以外にも、大竹伸朗氏などの屋外作品がいくつも設置され、作品群の相対的な関係をつくっています。蔡國強氏の文化大混浴は、直島の自然の気を感じながら実際に入浴できるアート作品。ミュージアムでは関連作品を見ることができます。
クロード・モネの傑作『睡蓮』を鑑賞するためにつくられたという『地中美術館』は、現代美術作家が呼応し、建築家・安藤忠雄氏が鑑賞のために造り上げた空間です。自然に解け込んでいるのは、大半が地中に埋もれた外観だけではありません。巧みに切り込まれた開口部が、無機質な室内に自然界の色を際立たせます。天然の光で鑑賞する『睡蓮』。その名画は、自然の偉大さを教えてくれているようです。(KK)
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