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お食い初め

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家に帰るとドアの鍵は開いていて、
ノンタンもマーくんもオリバーも誰もいない。
マーくんの布団はざっくりとめくられたまま。
ベビーベットの上の天井から吊るしたマーくんのBee(ビーって音の出る蜂のぬいぐるみ)が揺れている。
ノンタンの携帯も放置されていた。
「誘拐事件?」
なんて言葉が頭をよぎる。

「ムスムスさんがいねぐねっちった・・・」

しばらくするとノンタン、マーくん、オリバー(犬)のチンドン屋チームがドタバタと帰ってきた。

「焦ったよ、どこ行ってたの?ムスムスさんがいねぐねっちったかと思ったよ」

ムスムスさんとはマーくんのことで、お腹がすくとムスムスと泣き始めるのでこう呼んでいる。

「神社に石を拾いに行って、鯛の尾頭付きを買ってきたよ」とノンタン。

「石?」

「けさ言ってたじゃない、今日はマーくんのお食い初めやろうって。」

「そか。お食い初めか」

マーくんが生まれて100日。
お食い初め(おくいぞめ)とは、
子供が一生、食べ物に困らないよう願いをこめて赤ちゃんに食べ物を食べさせる儀式。
この時初めてお乳以外の食べ物を口にするのだが、口にするといっても、食べるマネをするだけでいいそうな。
お食い初めの歴史はとても古く、平安時代から行なわれていて、その様子が「平家物語」や「源平盛衰記」などに書かれているらしい。
これもマーくんが生まれて来たおかげで、ボクが初めて知ったこと。

お膳セットは先日の初宮参りで八幡さまからいただいたもの。

お食い初めの献立は、
1.飯椀→ 赤飯

2.汁椀→ ほんとはハマグリ汁らしいが、なかったのでアサリ。 中からピンク色のちっさい蟹さんが出てきた。女の子の場合はよい伴侶にめぐり逢えますようにという意味があるらしい。

3.平椀→季節の煮物。蓮根は見とおしの良い人生がおくれますように。

4.歯がための小石→ 氏子の神社の小石。ノンタンが3ヶ拾ってきてくれた。

5.尾頭付きの鯛→柔らかな赤ちゃんの頭が早くしっかりするように。
尾頭が生まれたときから死ぬまでの一生を意味しているんだと。
ちなみに、川魚は背側を手前に、海の魚は腹側を手前になるように盛り付ける。
これは、不祝儀の時には右側になるからで、陰陽説に由来し、尾頭付きの焼き魚・煮魚は「頭=上=陽=左」「尾=下=陰=右」となるので頭を左にくるように盛りつけ、魚の食事作法では、魚を返して食べないことが原則。
これは「裏返すことで陰の形になる」ということ。

6.梅干→しわくちゃになるまで長生きできますように。

7.お茶→お茶の意味だけ解明できず。
(誰か由来を知っていたら教えてちょ)

と、ボクらはこんな具合でした。
(てか、全部ノンタンのセッティングでしたが・・)

さて、いよいよお食い初めの儀式。
同姓の年長者が(この家ではボクですが)、
ご飯、汁、ご飯、魚、ご飯、の順にこれを三回づつ、食べさせるまねをします。
結婚式の三々九度にとっても似ています。
数えていても途中で何回やったかわからなくなります。
そして、「歯固めの儀」というのがあって、小石に触れた箸を赤ちゃんの歯茎に触れさせます。
歯が石のように丈夫で堅くなるようにとの願いから。
ボクはお腹を強くするために石を食わすのかと思った。

さて、これでマーくんは一生食いっぱぐれる心配がなくなりました。


(↑ノンタン撮影)
.

この様子をビデオに収めるつもりで、ボクは終始左手にビデオカメラを構えての儀式でした。

が、しかし、録画ボタンを押すのをしっかり忘れていた。

» Tags:歳時記, お食い初め,

Trackback(0) Comments(4) by 野澤真人|2008-03-28 23:11

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